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データセンターの電気代を削減するには?料金相場と高騰の理由を解説

データセンターの運営において、電気代は最大のランニングコストの一つです。近年の電気料金高騰により、多くの企業が電気代削減の必要性に迫られています。
本記事では、データセンターの電気代の相場や高騰の理由、そして効果的な削減方法について解説します。
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データセンターの電気代はどれくらい?料金相場を解説
データセンターの運営において、電気代は避けて通れない大きなコストです。高性能なサーバーやネットワーク機器を24時間365日稼働させるためには、膨大な電力を消費します。ここでは、データセンターの電気代の具体的な内訳や相場について解説します。
データセンターの電気代の内訳
データセンターの電気代を詳しく見てみると、サーバーなどのIT機器だけが電気を消費しているわけではありません。実際には機械から出る熱を処理するための冷却設備や、安定稼働を支える電源設備がコストの大半を占めています。とりわけ近年はサーバーが高性能になるにつれて発熱量も増えているため、冷却にかかる電力をどう抑えるかが全体の費用を左右する重要な要素になっています。
規模別・電気代の相場
データセンターの電気代は施設の規模やエネルギー効率によってピンからキリまであり、一概にいくらとは言えません。小規模な施設なら月額数十万円で収まるケースもあれば、大規模なデータセンターでは数億円という莫大な金額になることもあります。ただこれらはあくまで目安に過ぎず、実際に使用するサーバーの種類や稼働状況、契約する電力会社とのプランによってコストは大きく変動します。
サーバー台数別の電気代目安
サーバー1台あたりの電気代は機種や使い方で変わりますが、月額で数千円から1万円ほど見ておけば大まかな目安になります。仮に200Wから500Wで稼働させると約4,300円から1万円強かかりますが、これはあくまでサーバー単体で消費する電力だけの話です。実際にはここへ熱を冷やすための空調費などがさらに上乗せされることになります。そのためデータセンター全体のコストを考える際は、単に台数分を合計するよりも金額が大きく膨らむことを計算に入れておく必要があります。
データセンターの電気代が運営コストに占める割合
データセンターを運営する上で、電気代は全体のコストの30パーセントから50パーセントをも占める非常に大きな出費です。特に最近は設備が高密度になっているため、この電気代の比率はますます高くなる傾向にあります。ここで重要になるのが電力の効率を示すPUEという指標で、この数値が1.0に近ければ近いほど無駄なく電気が使われていることになります。逆に数値が高い場合は冷却などに余分な電力が使われている証拠なので、そこを見直すことがコスト削減の一番の近道と言えます。
データセンターの電気代が高騰している理由
近年、データセンターの電気代は上昇の一途を辿っており、多くの企業がその影響を受けています。この高騰には複数の要因が複雑に絡み合っています。
世界的なエネルギー価格の上昇
ウクライナ情勢をはじめとする世界的な不安要素が重なり、原油や天然ガスといったエネルギー価格の高騰が止まりません。資源の多くを輸入に頼る日本にとってこの影響は深刻で、国際価格の上昇がそのまま国内の電気料金に跳ね返ってきています。当然ながら大量の電力を消費するデータセンターにとっても他人事ではなく、運営コストを底上げする大きな痛手となっています。
再生可能エネルギー賦課金の増加
電気代の請求書をよく見ると、再生可能エネルギー発電促進賦課金という項目が含まれていることに気づくはずです。これは太陽光や風力といったクリーンなエネルギーを広めるために、私たちが電気を使うたびに負担している費用です。エコな発電方法が普及するのは良いことですが、それに比例してこの賦課金の額も年々上がり続けています。データセンターのように大量の電力を使う施設にとって、こうした上乗せコストの増加も無視できない負担増につながっています。
燃料調整費の変動
燃料調整費という言葉もよく聞きますが、これは原油やLNG、石炭といった燃料の価格変動を毎月の電気代に反映させる仕組みのことです。燃料の値段が上がればこの調整費も自動的に上がるため、結果として私たちが支払う電気料金全体が押し上げられてしまいます。先ほど触れた世界的なエネルギー価格の高騰はまさにここに直撃しており、今の電気代が高いと感じる大きな原因の一つになっているのです。
冷却設備の電力消費増加
サーバーの進化に伴ってどうしても避けられないのが、機器から出る発熱量の増加です。AIやビッグデータ解析のような高度な処理が当たり前になった今、ラックあたりの熱密度は高まる一方で、それを冷やすためのエネルギーも馬鹿になりません。さらに安定稼働を守るための予備システムも常にスタンバイしているため、冷却周りの電力消費は私たちが想像している以上にコストを押し上げているのが現状です。
データセンターの電気代削減方法
電気代の高騰は避けられない状況ですが、効果的な対策を講じることで、大幅なコスト削減が可能です。ここでは、具体的な削減方法を解説します。
サーバーの統合・仮想化による効率化
物理的なサーバーの台数を減らし、仮想化技術を使って複数のシステムを少数のサーバーに集約するのは非常に効果的な省エネ手段です。稼働率の低いサーバーを減らすことで、マシンそのものの電気代はもちろん、それらを冷やすための電力も同時にカットできます。IT機器と空調の両面から無駄を削ぎ落とすことができるため、まずはここから見直してみるのが良いでしょう。
冷却システムの最適化
冷 却システムは電力消費の大部分を占めるため、ここを改善するだけでコストは劇的に下がります。例えば冷たい空気と熱い空気の通り道を分ける工夫や、冬場の冷気を活用する外気冷房の導入などはすぐに効果が期待できる手法です。さらに最近では、サーバーを直接液体に浸して冷やす液浸冷却という技術も登場しており、従来の空冷では難しかった高い冷却効率を実現する手段として注目されています。
空調温度の適正管理
データセンター内の設定温度を一度見直してみることも重要です。米国暖房冷凍空調学会などのガイドラインを参考に、機器に影響が出ない範囲で設定温度を少し上げるだけでも空調の負担は軽くなります。たった1℃上げるだけで年間数パーセントもの電力削減につながるケースも多いため、過剰な冷却になっていないか確認する価値は十分にあります。
稼働率の低いサーバーの見直し
稼働していないのに電源が入ったままのサーバーや、ほとんど使われていない機器はただ電気を食うだけの存在になりがちです。こうした、いわゆるゾンビサーバーと呼ばれる遊休資産を見つけ出し、思い切って停止したり他に統合したりする作業が必要です。地味な作業に見えますが、無駄な電力消費を根本から絶つためには欠かせないステップと言えます。
新電力への切り替え
電気代を安くするための最も即効性がある方法は、電力会社そのものを切り替えてしまうことです。電力自由化によって多くの新電力会社が法人向けの割安なプランを出しており、自社の使い方に合ったプランを選ぶだけで大幅なコストダウンが見込めます。私たちは現状の使用状況を分析した上で、最適な電力会社やプランをご提案することができますので、ぜひ一度ご相談ください。
データセンターの電気代削減ならアドバンス・キドの新電力サービス
データセンターの電気代削減は、単なるコストカットに留まらず、企業の競争力強化や持続可能な経営に直結する重要な課題です。アドバンス・キドは、お客様のデータセンターに最適な新電力サービスをご提案し、電気代の年間最大30%削減をサポートします。
お客様の使用状況に応じた最適プランをご提案
データセンターごとの電力消費パターンは、施設の規模や導入しているサーバーの種類によって千差万別です。アドバンス・キドでは、まずお客様の現在の電気使用量や料金明細を細かく分析することから始めます。その上で数ある新電力会社の中から、単なる価格の安さだけでなく、供給の安定性やサポート体制までしっかり考慮した、お客様にとってベストなプランをご提案いたします。
低圧電力・高圧電力どちらも対応可能
データセンターと一口に言ってもその規模は様々で、それに応じて電力契約も低圧から高圧まで分かれています。アドバンス・キドでは、小規模な施設で利用される低圧電力はもちろん、大規模センターで必要な高圧電力の契約まで幅広く対応しています。どちらのケースでも、お客様に最適なプランニングを行いますので安心してお任せください。
削減コストの利活用もサポート
年間で最大30パーセントもの電気代を削減できるとしたら、そのインパクトは決して小さくありません。浮いた予算は新しいITへの投資や研究開発、あるいは人材育成やCSR活動など、企業の未来を広げるために有効活用できるはずです。アドバンス・キドは単にコストを下げるだけでなく、削減によって生まれた資金をビジネスの成長にどう繋げるかという視点でもサポートさせていただきます。
データセンターの電気代削減については、ぜひ私たちにお任せください。
よくある質問
Q. データセンターの電気消費量は?
データセンターの電気消費量は、その規模や収容するIT機器の量、効率性によって大きく異なります。小規模なデータセンターであれば数十kW〜数百kW、大規模なデータセンターでは数MW(メガワット)から数十MWに達することもあります。これは、一般的なオフィスビルや工場と比較しても非常に大きな消費量であり、そのため電気代が運営コストの大部分を占めることになります。
Q. データセンターにかかる費用の内訳は?
データセンターの費用は、建物の建設や機器の購入にかかる初期投資と、通信費、人件費、保守費といった多岐にわたる運用コストによって構成されています。その中でも、施設を24時間稼働させるための電気代は、ランニングコストの中で最大の項目です。そのため、電気代の変動や削減努力が、長期的な収益や運営計画に最も大きな影響を与える要因となっています。
まとめ
世界的なエネルギー価格の高騰や再生可能エネルギー賦課金の増加など、データセンターの電気代を押し上げる要因は無視できません。
しかし、サーバーの仮想化や冷却システムの最適化、新電力への切り替えといった具体的な対策を講じることで、コスト削減は十分に実現可能です。
アドバンス・キドは、お客様のデータセンターの状況を詳細に分析し、低圧・高圧問わず最適な新電力プランをご提案します。削減によって生まれたコストの利活用まで見据えたご提案で、お客様の経営戦略に貢献いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

