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新電力の選び方とは?中小企業の電気代を削減する手法を解説

毎月の電気代の請求書を見て、「このコスト、なんとかならないか…」と頭を悩ませてはいませんか?原材料費や人件費が高騰する中、固定費である電気代の削減は、多くの中小企業経営者様にとって喫緊の課題です。
その有効な解決策が、電力会社の切り替え、すなわち「新電力」の活用です。
しかし、「新電力はよくわからない」「選び方が複雑そうで、本業が忙しく手が回らない」といった不安から、導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな課題を抱えていらっしゃる方のために、「新電力とは何か?」という基礎知識から、自社に最適な会社の選び方、具体的なコスト削減効果、そして切り替え時の注意点までを解説します。
この記事を最後まで読めば、貴社にぴったりの新電力を見つけ、明日から実践できるコスト削減への確かな一歩を踏み出せるはずです。
- なぜ今、中小企業が電力会社を見直すべきなのか?
- 「新電力」とは何か?今さら聞けない基礎知識
- 中小企業が新電力に切り替える4つの経営メリット
- メリット1:電気料金の削減
- メリット2:自社の事業スタイルに合った料金プランの選択
- メリット3:再生可能エネルギー活用による企業価値の向上(SDGsへの貢献)
- メリット4:Webで完結する簡単な切り替え手続き
- 契約前に!知っておくべき新電力のデメリットと注意点
- 失敗しない!中小企業向け『新電力の選び方』5ステップ
- ステップ1:現状把握 - 検針票で自社の電気使用状況を正確に知る
- ステップ2:プラン理解 - 料金プランの種類(固定単価・市場連動など)を学ぶ
- ステップ3:比較検討 - 複数社の料金シミュレーションを活用する
- ステップ4:契約内容確認 - 契約期間・違約金・支払い方法をチェック
- ステップ5:信頼性見極め - サポート体制や企業の安定性を確認する
- 新電力への切り替え手続きと流れ
- 中小企業の経営者からよくある質問(Q&A)
- まとめ:賢い新電力の選び方で、持続可能な企業経営へ
なぜ今、中小企業が電力会社を見直すべきなのか?
「これまでと同じでいい」と考えている経営者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、今まさに、電力会社の見直しは、企業の利益を直接左右する重要な経営戦略となっています。
利益を圧迫する電気料金の高騰とその背景
ご存知の通り、近年、電気料金はかつてないほど高騰しています。その背景には、燃料価格の変動や再生可能エネルギー導入に伴う費用の増加など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
この傾向は今後も続くと予測されており、従来の電力会社と契約し続けるだけでは、企業の利益がますます圧迫されかねません。何もしないことが、実質的なコスト増、つまり「見えない損失」に繋がっているのです。
コスト削減がキャッシュフローに与えるインパクト
電気代は、事業を続ける限り発生し続ける「固定費」です。この固定費を削減できれば、その分は直接的に企業の利益となり、キャッシュフローを大きく改善します。
例えば、月額50万円の電気代が10%削減できれば、月5万円、年間で60万円のコストカットが可能です。この60万円を新たな設備投資や人材採用、マーケティング費用に充てることができます。電力会社の見直しは、単なる経費削減ではなく、企業の成長を加速させる「攻めの経営判断」と言えるでしょう。
「新電力」とは何か?今さら聞けない基礎知識
コスト削減の重要性は分かったものの、「そもそも新電力とは何なのか?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。ここで基本をしっかり押さえておきましょう。
2016年の電力自由化で何が変わったのか?
2016年4月、電力の小売が全面的に自由化されました。それまでは、各地域の大手電力会社(東京電力や関西電力など)からしか電気を買うことができませんでした。
電力自由化によって、さまざまな業種の企業が電力の小売市場に参入できるようになり、私たちは携帯電話会社を選ぶように、電力会社も自由に選べるようになったのです。この新しく参入した電力会社のことを、通称「新電力」と呼びます。
従来の電力会社(大手電力)と新電力の違いを比較
比較項目 | 従来の電力会社(大手電力) | 新電力 |
---|---|---|
特徴 | 各地域で独占的に電力を供給してきた会社 | 電力自由化で新規参入した多様な会社 |
料金プラン | 規制が多く、画一的なプランが中心 | 競争原理により、安価で多様なプランを提供 |
サービス | 電気の供給がメイン | ガスや通信とのセット割、ポイントサービスなど |
強み | 長年の実績による安定感とブランド力 | 価格競争力と柔軟なサービス設計 |
電気の品質は同じ!停電リスクもありません
「安い電力会社に切り替えたら、停電しやすくなるのでは?」というご心配は一切不要です。
電気は、すべての電力会社が同じ送配電網を使って供給しています。この送配電網は、従来通り各地域の大手電力会社が管理・保守しているため、どの新電力と契約しても、届く電気の品質や安定性は全く変わりません。万が一、契約した新電力が倒産するようなことがあっても、電気が止まることはない仕組みになっています。
中小企業が新電力に切り替える4つの経営メリット
新電力への切り替えは、コスト削減以外にも、企業経営に多くのメリットをもたらします。
メリット1:電気料金の削減
新電力の最大のメリットは、やはり電気料金の削減です。新電力は、自社の発電所を持たなかったり、人件費や設備投資を抑えたりすることで、大手電力会社よりも割安な料金プランを提供しています。企業の電気使用量や使い方に合わせた最適なプランを選ぶことで、大幅なコスト削減が期待できます。
メリット2:自社の事業スタイルに合った料金プランの選択
新電力は、多種多様な料金プランを用意しています。「夜間に稼働する工場向けに夜間料金が安いプラン」や「週末に営業する店舗向けに休日料金が安いプラン」など、自社の事業スタイルに最適化されたプランを選ぶことで、さらなるコスト効率化が可能です。
メリット3:再生可能エネルギー活用による企業価値の向上(SDGsへの貢献)
新電力の中には、太陽光や風力など、再生可能エネルギー由来の電気を供給する会社も多く存在します。こうした会社を選ぶことは、CO2排出量の削減に繋がり、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとして、企業のイメージアップや信頼性向上に貢献します。
メリット4:Webで完結する簡単な切り替え手続き
「手続きが面倒なのでは?」という心配も無用です。現在の電力会社への解約手続きは、新しい新電力が代行してくれます。経営者様は、Webサイトなどから必要な情報を入力して申し込むだけで、ほとんど手間をかけずに切り替えが完了します。
契約前に!知っておくべき新電力のデメリットと注意点
多くのメリットがある一方、契約前に知っておくべき注意点も存在します。これらを理解し、リスクを回避することが重要です。
契約期間の縛りや違約金の存在
新電力の多くは、1年〜3年程度の契約期間を設けており、期間内に解約すると違約金が発生する場合があります。契約前には、契約期間と違約金の有無、その金額を必ず確認しましょう。
【要注意】価格変動リスクのある「市場連動型プラン」とは?
料金プランの中には、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に連動して電気料金が決まる「市場連動型プラン」があります。市場価格が安い時期は大幅に電気代を節約できる可能性がありますが、逆に高騰した際には、電気代が予測不能なほど高くなるリスクを伴います。
電力会社の倒産・事業撤退リスクと、その場合の対処法
競争の激化により、新電力の中には倒産や事業撤退をする会社も出てきています。しかし、前述の通り、万が一契約先の新電力が倒産しても、即座に電気が止まることはありません。一時的に地域の大手電力会社から電気が供給されるセーフティネットがあり、その間に新しい電力会社を探せば問題ありません。
失敗しない!中小企業向け『新電力の選び方』5ステップ
ここからは、実際に自社に最適な新電力を見つけるための具体的な5つのステップを解説します。
ステップ1:現状把握 - 検針票で自社の電気使用状況を正確に知る
まずはお手元に「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を12ヶ月分ご用意ください。ここで確認すべきは、「契約電力(kW)」と「月々の電気使用量(kWh)」です。自社が1年間のどの時期に、どのくらい電気を使っているかを把握することが、最適なプラン選びの第一歩です。
ステップ2:プラン理解 - 料金プランの種類(固定単価・市場連動など)を学ぶ
次に、料金プランの種類を理解します。大きく分けて、毎月の電気単価が固定されている「固定単価プラン」と、市場価格に連動する「市場連動型プラン」があります。
ステップ3:比較検討 - 複数社の料金シミュレーションを活用する
いくつかの新電力会社のウェブサイトで、料金シミュレーションを行いましょう。ステップ1で用意した検針票の情報を入力することで、現在の電気代からどれくらい安くなるのか、具体的な削減額を確認できます。必ず2〜3社以上を比較検討することが重要です。
ステップ4:契約内容確認 - 契約期間・違約金・支払い方法をチェック
シミュレーションで魅力的な会社が見つかったら、契約内容の詳細を確認します。特に以下の点は必ずチェックしましょう。
- 契約期間は何年か?
- 途中解約した場合の違約金はいくらか?
- 支払い方法は自社の経理フローに合っているか?
ステップ5:信頼性見極め - サポート体制や企業の安定性を確認する
最後に、企業の信頼性を見極めます。トラブルがあった際のサポート体制はどうか、親会社はどこか、供給実績は十分かなどを確認し、長期的に安心して付き合える会社を選びましょう。
新電力への切り替え手続きと流れ
「選び方は分かったが、手続きが複雑そう…」と思われた方、ご安心ください。手続きは驚くほど簡単です。
申し込みから供給開始までの簡単3ステップ
- 【事業者様】新電力への申し込み: Webサイトや申込書で契約に必要な情報を入力します。
- 【電力会社】手続き代行: 申し込みを受けた新電力が、スマートメーターの交換手配や、現在の電力会社への解約手続きをすべて代行します。
- 【利用開始】次回の検針日から自動で切り替え: 手続きが完了すると、通知が届き、次の検針日から自動的に新しい電力会社からの供給がスタートします。
切り替え費用はかかる?スマートメーターへの交換は必要?
新電力への切り替えにあたり、原則として初期費用や工事費用はかかりません。 まだ旧式のアナログメーターをご利用の場合、遠隔での検針が可能な「スマートメーター」への交換が必要になりますが、この交換費用も原則無料です。
中小企業の経営者からよくある質問(Q&A)
Q. 本当に安くなるの?どのくらい削減できる?
A. 企業の電力使用状況や現在の契約内容によって異なりますが、一般的に5%〜15%程度の電気料金削減が期待できます。特に、電気使用量の多い工場や、24時間稼働しているオフィスなどでは、より大きな削減効果が見込めます。
Q. 賃貸オフィスや工場でも切り替えは可能?
A. はい、可能です。電力契約は、建物の所有者ではなく、電気を使用しているテナント(事業者様)が結ぶものです。ただし、念のため賃貸借契約書に電力会社に関する規定がないか確認しておくと、より安心です。
Q. どの電力会社を選べば良いか分からない場合はどうすればいい?
A. 数多くの新電力の中から、自社の状況に合わせて最適な一社を見つけるのは大変な作業です。もしお悩みの場合は、複数の電力会社を比較・検討し、中立的な立場で提案してくれる専門のコンサルタントや代理店に相談するのも有効な手段です。
まとめ:賢い新電力の選び方で、持続可能な企業経営へ
記事の要点まとめ
本記事では、中小企業経営者様が新電力を選ぶ際のポイントを解説しました。
- 電気料金の高騰は続いており、電力会社の見直しは重要な経営課題である。
- 新電力に切り替えても電気の品質は変わらず、多くの経営メリットがある。
- 「現状把握」から「比較検討」「信頼性の見極め」までの5ステップで、自社に最適な電力会社を選ぶことができる。
コスト削減の第一歩を踏み出したい経営者様へ
このガイドを通じて、新電力の選び方の全体像をご理解いただけたかと存じます。しかし、「自社の場合はどのプランが最適なのか」「複数社の比較検討をする時間がない」といったお悩みもあるかもしれません。
確実なコスト削減を実現するためには、プロの視点から貴社の電気使用状況を詳細に分析し、最適なプランを導き出すことが成功への近道です。
弊社の新電力サービス(https://www.adkd.co.jp/shindenryoku/)では、貴社の状況を丁寧にヒアリングし、数ある電力会社の中から最もコスト削減効果の高いプランをご提案します。面倒な比較検討から契約までワンストップでサポートいたしますので、経営者様は本業に集中していただけます。