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EV電池、世界で供給過剰!!

2025年8月21日の日本経済新聞に「EV電池、世界で供給過剰」「需要の33.4倍、価格3割安」という題名の記事が掲載されてました。内容は電気自動車向けの電池の世界生産能力が需要の3.4倍に上ることがわかりました。EV市場の減速で供給過剰に陥ったためだ。国内に一定のEV需要がある中国は増産を続ける一方で、日韓の大手電池メーカーは投資計画を縮小し始めました。想定外の需給ギャップが日本やアメリカで進めてきた電池の国産化への逆風になっています。アメリカのS&Pグローバルモビリティのデータを日経新聞が集計したところ、2025年の世界のEV 電池工場の生産能力は合計で3930ギガワット時に上ります。需要は1161ギガワット時で、需要の3.4倍程度の生産能力を抱えてます。救急が需要の3倍以上となる状態が2026年まで続き、2030年時点でも2.4倍になる見通しです。EV電池は、中国が7割のシェアを持ってます。2025年1月~6月のシェアは、1位中国のCALT、2位は中国のBYDで韓国のLGエネルギーソリューションが3位、日本のパナソニックは6位になります。アメリカや日本などの各国政府は、経済安全保障の観点から中国依存を避けるため、国内での電池生産を後押ししてきましたが、思い通りにいっていない状況です。
今回は電池の状況について、話しができればと思ってます。
目次
- 現在の電池の状況について
- 日本のEV電池の状況について
- EV電池の将来性について
- 中小企業とEV電池の関係について
- アドバンス・キド株式会社からのご提案
1.現在の電池の状況について
素朴に疑問に思うのですが、EVの重量は、ガソリン車の3倍になります。これは電池が重いからです。当然、エネルギー消費量、道路やタイヤの傷み具合がガソリン車と違ってきます。つまり、現段階では、効率性を考えるとガソリン車の方がはるかに良いのです。再生可能エネルギーから生成される電気を組み込み、二酸化炭素の削減に効果的な部分を強調するなら、電池の軽量化、固体化に突き進み、安全性を追及しないといけません。そのため、現在のEVの状況は過渡期だと思ってます。現在の主流である、リチウムイオン電池の将来における技術革新として、固体電池の研究が進んでいます。これは急速充電や長寿命、安全性の向上をもたらすと期待されています。今後の電池市場は、特に電動車両とポータブルデバイスの需要増加が見込まれており、2030年までに4,700GWh程度まで電力需要が増加すると予測されています。
2.日本のEV電池の状況
次世代電池である電解質がすべて固体材料から成る蓄電池「全固体電池」の電気自動車(EV)向けの量産に向けて、世界中がしのぎを削ってます。日本では、トヨタ自動車と出光興産が2027~2028年にEV年間5万~6万台分の規模で製造を始める計画です。1~2年前はこれで世界に先駆けた取り組みになるといましたが、最近は競合他社が開発を加速し、2026年の量産を計画するメーカーも複数社出てきています。全固体電池のメリットは大きく4点。(1)液漏れがない点で安全性が比較的高い(2)動作温度範囲が広く、特に高温に強い(3)充放電が速く、それでいて損失、つまり発熱が少ない(4)電極材料の選択自由度が高く、将来的に大幅な高エネルギー密度化を狙える――である。(2)の耐熱性については、これまでの電解液を用いたリチウムイオン2次電池でセ氏55~60度が限界だったのに対し、全固体電池は85℃前後、中にはセ氏150度まで利用できる製品も登場しつつあります。これは、冷却装置の簡素化につながるため、たとえ電池セルのエネルギー密度が電解液版と同じでも、電池パックの実質的なエネルギー密度を2倍近くに高められます。低温にも対応可能で、材料構成次第では、セ氏-40度といった極低温で動作させることも可能になっています。(3)の充放電の速さは、5分前後でEVを満充電にできることにつながるため、EVの使い勝手がガソリン車に大きく近づいてきます。これら(1)~(3)でゲームチェンジには十分で、だからこそEVメーカーの多くが全固体電池の開発に多くの開発リソースを割いています。ちなみに、(4)はこれまでの電池の限界を超えた高エネルギー密度化のロードマップを描ける点で電池技術の可能性を広げるが、全固体電池にすれば自動的にセルのエネルギー密度が高まるわけではない。当面は既存のリチウムイオン電池セルと大差ないエネルギー密度にとどまる可能性があります。
3.EV電池の将来性について
EVの普及を左右する最大の要素がバッテリー技術です。近年、リチウムイオン電池のエネルギー密度(単位重量・体積あたりの蓄電量)向上、充電時間短縮、コスト低減が急速に進展しています。例えば、2010年代初頭の一般的なEVの航続距離は100km程度でしたが、現在は400km以上走行できるモデルが増加してます。この技術的進歩が消費者の購入意欲を高める重要な要素となっています。さらに、安全性が高く容量も大きい固体電池や全固体電池といった次世代技術の実用化が進めば、EVの性能は飛躍的に向上するでしょう。EV普及は産業構造に大きな変革をもたらします。バッテリー製造、モーター開発、充電インフラ整備などの分野で新たな雇用が生まれる一方、エンジン関連部品メーカーなど既存の自動車産業は大きな転換を迫られます。EVは内燃機関車と比べて部品点数が約4割少なく、製造工程も単純化されるため、自動車産業の雇用形態も変化するでしょう。また、EVを活用したライドシェアやサブスクリプションサービス、電力の需給調整サービスなど、これまでにない新しいビジネスモデルも続々と登場しています。こうした産業変革は経済全体に波及効果をもたらし、新たな成長機会を創出します。
4.中小企業とEV電池の関係について
EV化によりエンジンやトランスミッションが不要となるため、これまでの電動化とは全く違うレベルのインパクトが見込まれ、特に従来型のサプライヤーにはマイナス影響が想定されます。エンジンやトランスミッション、燃料系部品など不要となる部品は自動車部品約3万点のうち約40%に及ぶといわれています。さらにEV化に 伴う軽量化への対応として、超ハイテン材やアルミ材、炭素繊維強化プラスチックなどの異素材へのシフトが起こると、部材の変更や加工技術の高度化への対応が必須となります。次に新たに必要となる部品としては、バッテリー、モーター、インバーターが代表的な部品としてあげられ、他にもEV用減速機や車載充電器等の部品が必要となります。サプライヤーは、EV化により新たな需要が見込まれる部品や技術を先ず把握し、次に自社の得意技術を再認識したうえで技術力向上と提案力強化が重要となります。
5.アドバンス・キド株式会社からのご提案
将来の予測ができない時代や世の中のことを「VUCA(ブーカ)」と呼びます。VUCAの時代では、これまで長年築いてきた常識や慣習が通用しなくなり、さまざまなビジネスに変革が強いられ、社会が大きく変わります。今は、将来予測が困難な時代に入っていると考えた方が良いと思ってます。EV電池ひとつとっても大変な時代になりました。電池はパワフルであり、軽量であり、安全でないといけません。一昔前には、不可能と思われる技術が次々と可能になっていく時代です。不可能は永遠ではないのです。EVの普及が遅れた日本ですが、勝負がついたわけではありません。幸いにもEVの普及が減速しております。中国やアメリカのEVが進んでいると言われてますが、日本との差はわずかだと思います。皆さんの会社もきたる大変化時代に向けて、今から体力をつけておくのはいかがでしょうか。まずは、電気代の見直しをして、課題克服のための資金を作ってください。電気代の見直しは、弊社の提携会社が無料で対応しております。勝負は今からです。予測不能な将来に対し、準備をし、VUCA時代を楽しんでいきましょう。
以 上