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コラム

記事公開日

天然ガス事情について

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 2025729日の日本経済新聞に「タイ電力ガルフ LNG(液化天然ガス)輸入拡大」という記事が掲載されました。この記事を見て、天然ガスがまた高くなるのでは??と考える方々もいらっしゃったのではないでしょうか。実際、電気代の内訳には「燃料費調整額」という項目があり、皆さんの電気代にエネルギー価格が直接影響します。タイのガルフは国営エネルギー大手のタイ石油公社(PPT)と共同出資会社を通じて、首都バンコク南東のラヨーン県マプタプット港の埋め立て地にLNGターミナルを整備する予定です。この港には既にPPT2か所でLNGターミナルを運営しており、都市部に繋がるパイプラインを整備してます。ガルフはタイ国内の自社の火力発電所向けにLNGを使います。タイ政府の天然ガスに関する長期計画の素案によると、2030年までに天然ガスの需要は2024年比で2パーセント増える見通しです。産業部門では石炭や重油に比べて環境負荷の低い燃料の天然ガスの需要が伸びるほか、ガス消費の大半を占める天然ガス発電も基幹電源として需要を支えます。一方でタイの国産天然ガスの生産量は2024年までの10年間で3割落ち込んでます。そのため、使用量は2パーセントアップでも輸入するLMGの量が増えてます。やはり、タイの動きは、国際市況に影響を与えますね。LNGを輸入に頼っている日本は他人事ではありません。

 

目次

  • 天然ガスの世界事情
  • 中東での天然ガス生産と利用が増加
  • アジアでの需要増加
  • 日本の天然ガスの調達状況
  • 今後の天然ガスの価格について
  • 電気の安定供給と発電事業の適正化について
  • 今後の電気料金の考え方について

 

  1. 天然ガスに世界事情

 2022224日に始まったロシアによるウクライナへの侵略を契機に、世界のエネルギーを取り巻く情勢は混迷を深めるとともに大きく変化し、特にエネルギーの安定供給やエネルギーコストの面で、世界各国に大きな影響を与えることとなりました。世界的なエネルギー価格の高騰は、アジアの国々にも大きな影響を及ぼしました。欧州諸国がLNGを買い求めたことが影響し、アジア向けのLNGのスポット価格も高騰することとなりました。以前よりLNGスポット市場からの調達比率が高かったアジアの国々では、高騰するLNGの購入を断念するといった事態も起きています。天然ガスはフランス・日本を除く全ての国で消費量が増加傾向を示しており、豪州・米国といった生産量の増加が続く国を除いては、総じて自給率が減少傾向にあります。石油や石炭と比べ、燃焼時のCO2排出量が少なく、相対的にクリーンとされる天然ガスの需要は今後も高まっていくことが想定されています。このように、世界中で天然ガスの需要が高まる中、輸入に頼らざるを得ない国は安定的・安価に調達していくための長期的な計画が必要です。

 

2.中東での天然ガス生産と利用が増加

 2024年の天然ガス生産量の伸びを中東の国別に見ると、オマーンが前年比で約4%増、サウジアラビア約2%増、イラン2%弱増加でした。一方、カタールは国内での太陽光発電普及による国内需要の減少により、約2%減少しました。2024年の世界の液化天然ガス(LNG)供給量も増加しており、中東では、LNG供給量の増加分の⼤半はアラブ⾸⻑国連邦(UAE)が占めました。また、中東では、電⼒部⾨の天然ガス利用は過去10年間で増大し、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビアなどの牽引により、今後も⽯油から天然ガスへの切り替えが続くとの予測です。

 

3.アジアでの需要増加

 2024年の世界の天然ガス需要は、アジア市場の急成長により、前年比2.5%以上増加し、過去最高の42,000億立方メートルに達しました。なお、アジア太平洋地域が、天然ガス需要の増加分の約45%を占めたほか、欧州の産業用ガス需要回復も需要の増加に貢献しています。2025年も主にアジアの経済成長により、天然ガス需要は2.3%増加するとの予測がでています。

 

4.日本の天然ガスの調達状況

 日本は、不安定な世界的エネルギー動向を踏まえ、LNGの輸入元とガス貯蔵能力を拡大することによって、エネルギー安全保障を積極的に改善しようとしています。資源の乏しい日本は、産業や発電所の電力をまかなうため、エネルギー、とりわけLNGの輸入に大きく依存しています。地政学的緊張の高まりを背景に、日本は信頼できるLNG供給のために安定した同盟国への依存をシフトしつつあります。日本政府と民間企業は、安定調達を確保するため、長期契約の交渉や海外のガス上流資産への出資も進めています。同時に日本は、供給ショックに対する国内バッファー を確保するため、新しい浮体式貯蔵・再ガス化設備(FSRU)の建設と既存設備の拡張を進めています。こうした戦略的措置は、天然ガスが安全で柔軟なエネルギー資源であることを再確認し、日本の天然ガス市場の成長に寄与しています。

 

5.今後の天然ガスの価格について

 6月予測と比較すると、現状では今後数ヶ月で天然ガスの貯蔵量が増加すると予想されています。その結果、天然ガス価格の予測が引き下がりました。10月の注入シーズン終了時点で、世界最大のGDPおよび天然ガス輸出量がある米国の天然ガス在庫は合計39,100億立方フィートになると予測されています。これは、先月の予測よりも5%多い貯蔵量となります。その結果、アメリカの市場価格(ヘンリーハブスポット価格)は、2025年第3四半期にMMBtu(100万英熱量:主にアメリカ、イギリスで使用される天然ガスの熱量単位)あたり平均約3.40ドルになると予想され、これは6月の予測から16%低下しています。ただし、来年は価格が上昇する可能性があり、アメリカの市場価格(へンリーハブスポット価格)は今年平均約3.70ドル/MMBtu、来年は4.40ドル/MMBtuになる見込みです。米国からのLNG輸出が引き続き増加する一方で、2026年には生産量が若干減少するという見通しを主に反映していることが背景にあります。

 

6.電気の安定供給と発電事業の適正化について

 電気は様々な方法で作られます。天然ガスや石油、石炭に頼る火力発電以外に太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー、原子力発電、水力発電などがあります。安定供給に持っていくには、この様々なエネルギーをミックスして発電することで、電気の安定供給を実現します。このエネルギーミックスにおいて、天然ガス発電の割合は約38%です。火力発電全体の割合は56%に達しており、再生可能エネルギーは約20%程度を占めています。政府は、2030年までに再生可能エネルギーの比率を36-38%に引き上げる目標を掲げており、安定供給と環境保護を両立させるためのエネルギーミックスの重要性が強調されています

 

7.今後の電気料金の考え方

 燃料価格の高騰や円安の影響により、20222023年にかけて大手電力会社の料金が大幅に値上げしました。2025年には、電気料金が横ばいまたは緩やかな上昇が予想されており、特に再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げが影響するとされています。供給側の状況が改善されつつあるものの、依然として高い水準で推移しており、政府の補助金が縮小されることで実質的な負担感は残っています。これらの要因を考慮すると、今後の電気料金は安定した水準で推移する可能性がありますが、変動は依然として存在するでしょう。電力卸市場が安定すれば、アドバンス・キドがご提案する電力会社の料金は低くなる可能性があります。電気代高騰で困っている会社は、アドバンス・キドにご相談してください。

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