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アマゾンウェッブサービス(AWS)一時障害について

2025年10月21日の日本経済新聞に「アメリカ アマゾンウェッブサービス(AWS)一時障害」「任天堂などアプリに影響」というタイトルの記事が掲載されてました。記事の内容は、2025年10月20日にAWSのクラウドウェッブサービスで大規模な障害が発生した内容です。日本時間で16時ごろからアメリカの東部地域で報告されました。AWSを使う世界のウェッブサービスやゲームアプリに影響が広がりました。AWSは、19時半ごろには「ほとんどのAWSサービスは通常通り動作している」と復旧を報告しました。今回のAWSの大規模障害の影響で、アメリカの金融サービスのロビンフッドや人工知能(AI)新興のパープレキシティ、メッセージアプリ「シグナル」などは、サービスに障害が発生したと公表しています。ロイター通信によると「フォートナイト」のゲームサービスが使えなくなったほか、配車サービス「リフト」のアプリもアメリカで利用できなくなったとのことです。
AWSのクラウドサービスは、日本ではガバメントクラウドとして採用され、市役所や区役所などの自治体業務のサービスもAWSのクラウドサービス上で動いてます。今回の障害も大変でしたが、日本のデータセンターで障害が起きたら、生活に密着している分、大変なことになります。セキュリティも厳重にしている筈なので、めったに障害が起きることはないと思いますが、今回の様にいつ障害があるのかわかりません。AWSのクラウドサービスは、動いていて当たり前の空気の様な存在になりつつあるので、余計に心配です。
今回は、我々の生活に入りこんだアマゾン・ウェッブ・サービス(AWS)の状況について話します。
目次
- AWSについて
- クラウドサービスの状況について
- クラウドサービスの日本の状況について
- 中小企業の対応について
- アドバンス・キド株式会社からのご提案
1.AWSについて
AWSは100以上のクラウドコンピューティングサービスの総称です。クラウドコンピューティングとは、インターネットを介して、サーバ、ストレージ、データベース、ソフトウェアといったコンピューターを使った様々なサービス利用することをさします。クラウドコンピューティングでは、手元に1台のPCとインターネット接続できる環境さえあれば、サーバや大容量のストレージ、高速なデータベースなどを必要な分だけ利用できます。
AWSがビジネスで受け入れられている背景には、以下の5つのポイントがあります。
➀ 豊富なサービス
➁ 世界最上級の運用専門知識
➂ 最もセキュアなセキュリティ基準
➃ 安心できる情報網(コミュニティやパートナーの存在)
➄ まったく新しいテクノロジーを最速で提供し続けるサービスコンセプト
上記ポイントにより、コスト削減や俊敏性を高めビジネスを効率化し、ビジネススピードを加速化し、イノベーションの加速を実現する環境が得られます。その結果、AWSはクラウドサービスで現在、世界の市場シェアの約3割を持つ最大手で、世界で多くのインターネットサービスに影響を及ぼしてます。AWSの具体的なサービスは、仮想サーバやストレージを提供したり、AI(機械学習)やIot、ブロックチェーンといった領域のサービスを提供してます。たとえば、AIであれば、機械学習モデルの迅速な構築やトレーニングを支援するメニューや機械学習による予測を行うメニュー、テキスト分析のためのメニューなどがあります。
AWSのデータセンターは、日本国内にある場合もあれば、海外にある場合もあります。会社の方針で明確なデータセンターの位置は公表していません。日本では、東西にわけて、データセンターを作っていると聞いたことがあります。
2.クラウドサービスの状況について
クラウドサービスは、インターネット経由でソフトウェアやインフラの各種機能を利用できるサービスです。低コストで導入・運用可能な点など複数のメリットを持ち、企業間に普及しています。
具体的な市場の成長要因としては、以下の3点があります。
➀ テレワークの普及
テレワークの実現には、クラウドサービスが不可欠です。クラウドサービスを利用すれば、場所や時間に縛られず、いつでもどこでも安全にデータへアクセスして業務を行えます。従業員が場所を問わずにアクセスできるクラウド環境は、オフィス以外でも作業効率を維持するためのインフラとして不可欠であり、今後もその需要は続くと予想されます。
➁ AI・ビッグデータ・IoTなどの普及によるデータ量の増加
AI、ビッグデータ、IoTといったテクノロジーの進展に伴い、企業が扱うデータ量が増加ているのも、クラウド市場が成長している要因です。企業は膨大なデータを効率的に処理・分析するためにクラウドを活用し、データに基づいた根拠のある意思決定や自動化の実現を目指してます。クラウド環境は、このようなデータ活用のインフラとしては理想的であり、特に高度な処理が求められるAI領域では、クラウドサービスの利用が今後も拡大する見込みです。
➂ 導入コストの削減
クラウド導入によるコスト削減も、導入の重要な動機になってます。
従来のオンプレミス型のIT環境を構築するには、高額な初期投資が必要でした。一方でクラウドサービスは、必要な分だけリソースを使用することができる従量課金モデルが一般的なため、運用コストを最適化できます。また、設備の保守やアップデートが不要になるため、人的リソースの削減にもつながります。
以上の3点のメリットが多くの企業の導入を後押しし、クラウド市場の成長を加速させていると言えます。
3.クラウドサービスの日本の状況について
各種クラウドサービスを利用する企業は近年、急速に増加してます。メリットとしては、場所を選ばずに利用できること。資産・保守体制を自社で持つ必要がない点です。会計システムやスケジュール共有、営業支援システムなど幅広い分野でクラウドサービスが利用されており、今や企業に欠かせない存在になってます。
総務省によると2023年には日本の約8割の企業がクラウドサービスを利用しているとのことです。日本では、AWSの他、マイクロソフトアジュール、グーグルクラウドプラットフォームの利用率が非常に高い傾向にあります。特にAWSは、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastracture as a Service)の両市場で50パーセントを超えるシェアを持ってます。
Paasは、システムやサービスを構築し実行するための土台となる環境(Platform)をクラウド上で提供するサービスです。
また、Iaasは、インターネットを通じて、エンドユーザにITインフラストラクチャを提供するクラウドサービスです。
日本では、アマゾンだけでなく、グーグル、オラクル、マイクロソフトのアメリカの企業のシェアが大きいです。これに対し、日本政府は経済安全保障の観点から、国産クラウドの育成を推進してます。国産クラウドは、GAFAMに比べて、遅れていることは否めません。
システムを提供するデータセンターは、次3つの条件が場所として大事になります。電気を安定して供給できる場所、地震が少ない場所であること、大都市に近い場所であることが条件になります。関東地区では、千葉県印西市にデータセンターが集中してます。因みに古巣の日立製作所は岡山と神奈川の横浜にデータセンターを持ってます。日立のデータセンターは、バビル2世のバビルの塔のような要塞の感じで、監視カメラや重厚な門でがっちりと固められている感じでした。
4.中小企業の対応について
中小企業の会社もクラウドサービスを利用していると思います。クラウドサービスを使っていない場合は、利用することをご検討ください。特に総務系のシステムは、利用しやすいと思います。基幹系は、止まると業務に支障があるので、クラウドサービスと自社での運用のハイブリッド型をお勧めします。
AWSのサービスでは、データの出し入れをすると課金されてしまいます。激しく出し入れしたら、その分、課金されてしまい、コスト削減の効果がなくなります。逆にコストが高くなる可能性もあります。そのため、データサーバを社内に置いておいて、アプリケーションだけクラウドに乗せて、システムを使う企業も最近でてきてます。また、クラウドサービスが使えなくなった場合、社内サーバのみで運用する仕組みも考えておく必要があります。今一度、社内の情報化について、見直しをしてください。
5.アドバンス・キド株式会社からのご提案
中小企業としては、データを守る必要があります。そのため、クラウドサービスを利用するのは、当然の結果だと思います。ただ、全面的に1つのクラウドサービスに、任せるのもよくないので、契約しているクラウドサービスの会社を分散することも考えたいところです。社内サーバとクラウドサービスの2つにする考えもあります。
災害対応を考えるためにも、ひとつが潰れても事業継続ができる状況にしておく必要があります。自社でサーバを持つ場合はサーバ室を堅牢にし、空調を完備しないといけません。電気代もかかります。電気代については、是非、アドバンス・キドにご相談ください。また、災害情報にアンテナを立てておくことが大事です。アドバンス・キドが紹介しているSpectee社のAI防災情報提供サービスを使って、いち早く、各地に何が起こっているのかを把握し、対策を立てるのも良いと思います。
いろいろと考えないといけない状況です。明るく前向きに頑張りましょう。
以 上

