1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

コラム

記事公開日

日野市の日野自動車工場跡地のデータセンターについて考える

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2026年10月4日号のWEBニュースの東京 民放の記事に“日野市 巨大データセンター建設を「強行するな」 三井不動産本社前で抗議”というタイトルの記事が記載されてました。内容は、日野市の日野自動車工場跡地に三井不動産が進める大規模データセンター(DC)の造成工事の着工を前に、周辺住民らでつくる「巨大データセンターから住民の暮らしと環境を守る市民の会」が9月24日、「基本データも安全対策も示さないまま工事着工は認められない」として、三井不動産本社(中央区)へ着工延期の要請を行ったとのことです。要請内容は「造成工事、建物工事(2027年5月~)について着工を延期すること」「圧迫感のある建物高さ、熱中症・騒音・火災の危険など周辺住民の生活環境に影響を及ぼす問題について、住民合意が得られる計画に改めること」の2点です。
 日野市の地域住民が懸念している点は、以下の項目になります。

  • 高さ約72mの建物による日照・景観への影響
  • 冷却設備や非常用発電設備から発生する騒音
  • 大量の排熱による周辺環境への影響
  • 冷却用水の大量使用と排水
  • 電力需要増加による地域の電力インフラへの影響
  • 建設工事中の交通・騒音・振動

 2025年4月の国会審議でも、日野市の日野自動車工場跡地のデータセンター建設計画について住民の景観、日照、排熱、騒音への懸念が取り上げられています。これは単なる一地域の問題ではありません。いずれ日本全国に拡がる問題でもあります。
 今回は、データセンター関連について言及します。

目 次

1.日野自動車跡地のデータセンター建設計画について

2.世界のデータセンター事情について

3.日本のデータセンター事情について

4.中小企業の対応について

5.アドバンス・キド株式会社の提案について

1.日野自動車跡地のデータセンター建設計画について
 東京都日野市の日野自動車工場跡地(日野台地区)では、三井不動産が大規模データセンターの開発を進めています。この計画で重要なのは、データセンターが一般的な工場とは異なり、24時間365日、大量の電力を消費し続ける施設であることです。最新のデータセンターに必要な電力・水・冷却設備については以下の項目になります。

① 電力使用量
 データセンターの電力消費は、施設の規模とAIサーバーの割合によって大きく異なります。一般的な規模の目安は次のとおりです。これは特定の日野市のデータセンターの計画の公表値ではなく、施設規模を理解するための一般的な概算例です。

施設の規模

IT機器の電力容量の目安

小規模

1MW未満

中規模

1~10MW

大規模

10~50MW

超大規模・AI対応

50~100MW以上

 例えば、100MWのデータセンターが平均して100MWを使い続ける場合

  • 1時間:約10万kWh
  • 1日:約240万kWh
  • 1年間:約8億7,600万kWh

となります。これはIT機器だけでなく、冷却、照明、電源変換なども含む施設全体の電力使用量とは区別する必要があります。実際の施設全体の電力は、PUE(電力使用効率)によって変わります。PUEが1.2なら、IT機器が100MWの場合、施設全体では120MWを消費します。

② 排水・冷却用水の問題
 サーバーは大量の熱を発生させます。そのため冷却が必要です。
 現在の冷却方式には、主に3種類あります。

冷却方式

特徴

水の使用

空冷方式

空気でサーバーを冷却

比較的少ない

水冷方式

冷却水を使って熱を移動

設計による

液浸冷却

サーバーを特殊な液体に浸す

冷却液を循環利用

 ここで重要なのは、水冷方式だから必ず大量の水を排水するわけではないということです。冷却水を循環させる方式もありますが、蒸発冷却では水が蒸発するため補給水が必要になります。また、水質管理のために一定量を排出する場合もあります。したがって、日野市の日野自動車工場跡地の計画では次の数値を確認する必要があります。
  • 1日当たりの上水使用量
  • 工業用水の使用量
  • 冷却水の循環率
  • 蒸発による水の消失量
  • 下水道への排水量
  • 排水の水温・水質
  • 渇水時の水の確保方法

 2026年4月の国会審議では、空冷から水冷への転換に伴い、データセンターの水需要が増加する問題が取り上げられました。工業用水の供給は製造業などが優先される制度上の問題も指摘されています。

③ 周辺住民の生活への影響
 住民生活への影響は、次のように整理できます。

項目

想定される影響

騒音

冷却ファン、空調設備、非常用発電機

排熱

屋外への温風排出

日照

大型建築物による日陰

景観

高層建物による圧迫感

水道

大量使用による地域水資源との競合

排水

排水温度・水質の管理

電力

受電設備や送電網への負荷

災害

停電時の非常用発電設備、燃料備蓄

 ただし、これらはすべてが必ず発生するという意味ではありません。設備の設計、敷地との距離、防音・排熱対策、電力系統の増強などによって影響は変わります。

2.世界のデータセンター事情について
 生成AIの普及に伴い、Microsoft、Google、Amazon、Metaなどの大手企業がデータセンターへの投資を拡大しています。特に従来型データセンターとAIデータセンターでは、電力需要の性質が異なります。

項目

従来型

AIデータセンター

主な用途

Web、クラウド、データ保管

AI学習、生成AI、推論

サーバー

一般的なCPU中心

GPUなど高性能半導体

電力密度

比較的低い

非常に高い

発熱

比較的少ない

非常に大きい

冷却

空冷中心

液冷の導入が進展

 IEA(国際エネルギー機関)の2026年発表によると、2025年の世界のデータセンターの電力消費は前年比17%増加しました。AI特化型データセンターでは50%増加しています。これは、電力会社や発電事業者にとっても大きな変化です。

② 世界各国の課題

地域

主な状況・課題

アメリカ

AIデータセンターの大型投資、電力確保、送電網の増強

中国

AI・クラウド基盤の拡大、電力・冷却設備の確保

欧州

脱炭素電力の調達、水資源、環境規制

シンガポール

電力・土地・水資源の制約を踏まえた建設管理

中東

豊富なエネルギー資源を活用したAIインフラ投資

③ 世界的に重要になる4つの技術

<液冷技術>      GPUなど高発熱サーバーを効率的に冷却し、空調に必要な電力を抑える技術。

<蓄電池>       停電時のバックアップ、電力需要のピーク抑制、再生可能エネルギーの有効利用。

<再生可能エネルギー> 太陽光・風力・水力などを組み合わせ、長期的な電力調達を安定させる。

<排熱利用>      サーバーから出る熱を、近隣の工場、温浴施設、農業施設などで再利用する。
 今後は、単にデータセンターを建設するだけではなく、電力・水・熱を地域全体で効率よく利用する考え方が重要になります。

3.日本のデータセンター事情について 。

① 日本の電力需要が増えます
 日本では、人口減少や省エネによって電力需要が減少するという従来の見通しが変化しています。背景には、AIデータセンターの増加、クラウドサービスの拡大、半導体工場の新設、EV・電化設備の普及、通信・デジタルインフラの拡大があります。
 2026年4月10日の衆議院経済産業委員会で政府参考人が説明した、2026年1月公表の電力需要想定によると、次のようになっています。
 日本全体の電力需要見通しとしては、
       2025年度に8,034億kWh ⇒ 2035年度に8,461億kWh
 約5%増加を10年間の電力需要の増加見通しとしてます。
 データセンター等の需要増加分は約568億kWhと推計されています。省エネなどによる需要減少を差し引いた全国合計の増加は約428億kWhです。つまり、データセンターの増加は、日本の電力需給に大きな影響を与える可能性があります。

② 日本の立地状況
 経済産業省のエネルギー白書2025によると、2023年時点で日本のデータセンターの約90%(面積換算)が東京圏と大阪圏に集中しています。   
 今後は次のような地域分散も重要になります。

  • 東京圏    :金融、企業、行政のデータ需要
  • 大阪圏    :関西の企業・通信需要
  • 北海道    :広い土地、再生可能エネルギーの活用
  • 九州      :半導体産業との連携
  • その他の地方:災害時の分散拠点

③ 日本が直面する課題

課題

内容

電力不足

データセンターと半導体工場の需要増加

送電網

大規模電力を供給するための系統増強

電力料金

発電・送配電設備への投資負担

水資源

冷却用水の確保

脱炭素

再エネ電力の安定調達

地域社会

騒音、排熱、景観、住民合意

災害対策

停電、地震、浸水、通信障害への備え

 特に重要なのは、データセンターを建設する場所と、電力を安定して供給できる場所が必ずしも一致しないことです。経産省は、電力インフラと通信インフラを一体的に考える「ワット・ビット連携」を進めています

4.中小企業の対応について
 データセンターの増加は、大企業だけの問題ではありません。中小企業にも電力料金、取引先の事業継続、設備投資などを通じて影響します。
 私は、以下の5つの対応が重要だと考えます。

① 電気料金の見直し
 電力需要が増える社会では、企業は電力の調達方法を見直す必要があります。

  • 現在の電力会社と契約内容の確認
  • 地域電力と新電力の料金比較
  • 固定単価型と市場連動型の比較
  • 高圧契約の基本料金・電力量料金の分析
  • 直近12か月の電気料金シミュレーション

 ただし、市場連動型は市場価格が高騰した場合に料金が上がるリスクもあります。安さだけではなく、価格変動への耐性も確認する必要があります。

② 太陽光発電と蓄電池
 工場や倉庫の屋根を活用して太陽光発電を導入し、蓄電池と組み合わせます。
 期待できる効果は、

  • 電力会社から購入する電力量の削減
  • 昼間の電力需要への対応
  • ピーク電力の抑制
  • 停電時の非常用電源
  • CO2排出量の削減

 ただし、蓄電池は導入費用と耐用年数を含めた投資回収計算が必要です。

③ 空調設備の省エネ
 データセンターと同じように、一般企業でも冷却・空調は大きな電力消費要因です。

  • 古い空調設備の更新
  • 空調温度の適正管理
  • 人感センサーによる運転制御
  • 室外機周辺の通風改善
  • BEMSによる電力使用量の見える化

 特に商業施設、介護施設、病院、ホテルなどは検討する価値があります。

④ BCP対策
 停電によって事業が停止すると、売上だけでなく取引先にも影響します。中小企業が考えるべきことは、

・非常用発電機

・蓄電池

・太陽光発電

・通信回線の二重化

・サーバーのクラウド化、

・非常時の電力使用優先順位

です。

⑤ 取引先の電力リスクを把握する
 データセンターや半導体工場に部品・サービスを供給している中小企業は、取引先の電力需要や停電リスクにも注意が必要です。電力の供給停止がサプライチェーン全体に波及する可能性があるため、電力確保とBCPを経営課題として扱うことが大切です。 

5.アドバンス・キド株式会社の提案
 今回の問題は、私が携わっている電力事業にも影響を与える問題です。データセンターが増え続けると、住民や中小企業との電気の取り合いが発生します。データセンターの増加を、単なる電力需要の増加として見るのではなく、電気代削減・電力の安定確保・省エネ・BCPを一体化した問題として捉えることができます。
 アドバンス・キド株式会社としては、次の5つの提案に整理することを考えてます。

提案① 電気料金の最適化

提案内容:

  • 電気料金の見直し(東京電力など地域電力との比較)
  • 低圧契約または高圧契約の料金分析
  • 市場連動型と固定型の比較
  • 直近12か月の電気料金シミュレーション

 特に電力使用量の大きい企業では、わずかな単価差でも年間の削減額が大きくなる可能性があります。ただ、単純に最安値の電力会社へ変更するのではなく、供給条件、契約期間、価格変動リスク、バックアップ体制まで確認する必要があります。

提案② 太陽光発電・蓄電池の導入支援 
 電力会社から電気を購入するだけではなく、自社で電気を作り、蓄える仕組みを提案します。

  • 工場・倉庫の屋根への太陽光発電
  • 蓄電池の導入
  • ピークカット
  • 非常時の電源確保
  • 再エネ電力の活用

 これからは、設備メーカーや施工会社と連携し、電力料金の見直しから設備導入までを視野に入れた提案をしていきます。

 提案③ 空調・冷却設備の省エネ
 日野市の日野自動車工場の跡地のデータセンター問題でも、冷却設備は重要なテーマです。一般企業においても、空調・冷却設備の改善は電気代削減に直結する可能性があります。
 削減効果が大きいと思われる業種は以下の通りです。
 商業施設、介護施設、病院、ホテル、食品工場、冷凍・冷蔵倉庫、データセンター関連企業
 特に冷凍・冷蔵倉庫や食品工場は、24時間稼働する冷却設備を持っているため、電気料金の見直しと設備改善を組み合わせる余地があります。

提案④ BCP・電力レジリエンス
 私は、日立時代にもBCP構想を考えてました。企業のBCPを次の6つに整理するとよいと思います。

  • 電力:太陽光・電力会社からの調達
  • 蓄電:蓄電池・非常用電源
  • 水 :貯水・水資源の確保
  • 通信:通信回線の二重化
  • 空調:冷暖房・避難時の快適性
  • 食料・医療:備蓄・健康管理

 災害に強い企業づくりは、電気代を削減をきっかけに、災害時にも事業を継続できる企業を作ることが大事だと考えます。

提案⑤ データセンター周辺企業への課題解決
 日野市の日野自動車工場跡地のデータセンター計画をきっかけに、データセンターそのものだけではなく、その周辺の企業への課題解決の提案が出来ます。

対象

電気代削減の提案

データセンター関連の設備会社

高圧電力の料金比較

空調設備会社

冷却設備の電力削減

半導体関連工場

電力調達・省エネ

食品工場

冷凍・冷蔵設備の電力削減

物流倉庫

空調・照明・充電設備

商業施設

空調・照明・高圧契約

介護施設・病院

空調・給湯・電力契約

 特に、データセンター建設に伴って新たな設備・保守・物流需要が発生する企業とはコスト削減のお手伝いができそうです。ただし、周辺企業の電力需要が実際に増えるかどうかは、それぞれの事業内容と施設計画によります。
 データセンター時代の新しい企業課題としては、以下の項目が考えられます。

  •  AI・データセンターの急増
  •  デジタル社会の電力需要増加
  •  電力需要増加
  •  電力確保・料金上昇リスク
  •  冷却需要増加
  •  水・空調・排熱問題
  •  設備投資拡大
  •  太陽光・蓄電池・省エネ
  •  災害リスク
  • 停電・通信・BCP

 アドバンス・キド株式会社としては、電気代削減をして、「電力の安定確保とBCP」つまり、電気料金の見直しから、設備・省エネ・事業継続までのご支援を至上命題だと考えてます。
 皆さん、何が起きても動じない、強い会社をつくっていきましょう。
                                   以     上

enerugy_simyuration.png
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

サービスに関する各種お問い合わせ・資料の請求は、
各メールフォームよりご連絡ください。