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飲食店の電気代はどこまで下がる?相場比較から現場の改善方法、契約プランの見直しまで解説

エネルギー価格の高騰が続くなか、飲食店の経営では光熱費の管理が経営課題のひとつになっています。特に飲食店は、大型の厨房機器や空調を長時間稼働させるため、他業種よりも電気代の負担が重くなりがちです。固定費をどこまで抑えられるかが、利益率にも影響を与えます。
本記事では、飲食店の電気代相場から、現場で取り組める節電対策、電気契約の見直し方まで解説します。
飲食店の電気代相場とコスト構造
まずは飲食店における電気代相場の目安と、電気代が上昇する背景について解説します。
業態や店舗規模による目安
飲食店の電気代は、一般的に売上の約5%から7%程度が相場とされています。なかでもレストランは、オーブンや大型冷蔵庫を多く使用するため、カフェなどの軽食店より消費電力が増える傾向があります。まずは自店舗が平均的な範囲内に収まっているかどうか、月々の検針票から把握することが大切です。
売上の10%以上を光熱費が占めている場合は、設備や契約のどこかに無駄が潜んでいる可能性があります。自店舗の業態特性を理解し、コスト比率が適正かどうかを見極めることが改善の出発点です。
電気代が上がる主な理由
料金高騰の背景には、燃料価格の上昇による燃料費調整額の増加があります。燃料費調整額とは、発電に使う燃料価格の変動を電気料金に反映する制度です。燃料価格が上がると、電気料金も上昇します。
これに加えて、多くの飲食店の電気代を押し上げているのが、換気扇の稼働による空調負荷です。厨房で発生する大量の熱を排気すると、店内の冷気や暖気も同時に外へ逃げてしまいます。そのため空調の稼働時間が長くなり、電気使用量が増えやすくなります。
さらに、冷蔵庫のパッキン劣化による冷気漏れなど、設備性能の低下もコスト増の要因です。これらが重なることで、レストランの消費電力は想定以上になることがあります。
現在の契約内容の確認
電気代を削減するための第一歩は、現在の契約内容を正しく把握することです。検針票に記載されている契約種別や契約電力を確認しましょう。
レストランでは大型機器を使用するため、低圧電力や高圧電力といった契約形態が用いられます。一般的に、低圧電力は小規模店舗向け、高圧電力は電力使用量の多い中規模以上の施設向けです。
現在の契約プランが営業スタイルや電力使用量に合っているか、一度見直しておくことが大切です。
現場でできる節電対策
大規模な設備投資をしなくても、運用の見直しだけで削減できる余地は十分あります。ここでは、現場で対策できる3つの節電方法を紹介します。
空調の温度調節とこまめな清掃
店舗の消費電力の中で最も大きな割合を占めるのは、客席や厨房の空調設備です。設定温度をわずか1度変えるだけで、約10%もの節電効果が期待できると言われています。しかし、単に温度を上げるだけでは、室内の快適性を損なう恐れがあります。そこで意識したいのがフィルター清掃です。定期的に清掃することで、エアコンの稼働効率は大幅に改善されます。
定期的な清掃や適切な温度管理を徹底することで、無駄な消費電力を抑えつつ、快適な店内環境を維持することができます。
厨房機器の使い方の工夫
空調の見直しと並行して、厨房機器の運用ルールを整理しましょう。業務用機器は消費電力が大きく、不使用時に通電を止めるだけでも無駄な消費を減らすことができます。
現場で実践できる厨房機器の省エネ方法は次のとおりです。
- 加熱機器の集約:仕込み時間をまとめて機器の稼働時間を減らす
- 不使用時の消灯:アイドルタイムのフライヤー等の電源を落とす
- 定期的な清掃:冷蔵庫のフィルターを掃除し冷却効率を保つ
これらをルール化することで、担当者が変わっても節電水準を維持できます。
照明のLED化
設備面での対応で効果が出やすいのが照明のLED化です。蛍光灯からLEDに切り替えると、照明にかかる消費電力を約40〜50%削減できるとされています。ランニングコストの観点でも、比較的回収しやすい設備投資といえます。
一度に交換が難しい場合は、稼働時間の長い厨房や客席から順に進めるとよいでしょう。運用改善とLED化を組み合わせることで、設備投資を抑えながら削減効果を高めることができます。
新電力への切り替えと契約見直し
現場の運用改善でコストを抑えたうえで、次に着手したいのが契約面の見直しです。節電だけでは削減に限界があるため、契約プランの変更によって固定費を抑えることができます。ここでは、新電力の契約プランの選び方と手続きの流れを解説します。
新電力活用による固定費の圧縮
新電力とは、2016年の電力自由化以降に参入した電力会社の総称です。従来の地域電力会社と比べ、料金水準を抑えたプランを提供しているところが多くあります。年間ベースでは数十万円規模のコスト差が生まれることもあり、固定費削減の手段として注目されています。店舗の使用量によって低圧・高圧いずれの供給区分に当たるかが異なるため、現在の契約電力を確認したうえで比較に進みましょう。
最適なプランの選び方
新電力会社を選ぶ際は、単価の安さだけでなく、自店の電力使用パターンに注目することが重要です。たとえば、深夜まで営業するレストランであれば、夜間単価が低いプランを選ぶほうがメリットを得られます。反対に、ランチ営業が中心の場合は、日中の単価が低いプランのほうが適しています。
また近年では、市場価格に連動して単価が変わる市場連動型プランも増えています。価格が下がる可能性がある一方で、高騰時のリスクもあるため、慎重な判断が必要です。電力会社ごとの特徴を理解し、経営スタイルに合った契約を選びましょう。
供給開始までの具体的な手順
電力会社への切り替え手続きはシンプルで、申し込みから通常1〜2ヶ月程度で完了します。基本的に工事や立ち会いは不要で、営業を止めることなく切り替えられます。事務手続きの多くは新しい電力会社が代行するため、煩雑な書類作成に追われることはほとんどありません。
切り替えは、次の流れで進みます。
- 検針票の準備:直近12ヶ月分の使用データを確認し、料金を試算する
- スマートメーターの確認:未設置の場合は送配電会社が交換を行う
- 電力会社の切り替え:既存契約を解約し、新しい電力会社へ切り替える
契約の見直しは、現場での節電努力とは異なり、一度行えばその後も削減効果が続く経営改善策のひとつです。
多店舗運営における管理効率化
現場改善や契約見直しで電気代を抑えても、多店舗展開では管理負担が増えます。削減効果を維持するには、管理体制の効率化も欠かせません。
ここでは、多店舗運営における電力管理のポイントを解説します。
請求情報の一括管理
多店舗展開している場合、各店舗から届く紙の請求書の処理は、経理担当者の大きな負担となります。新電力会社の中には、全店舗の請求情報をクラウド上で一括管理できるサービスを提供しているところがあります。店舗ごとの電気使用量を一元管理できるため、いつ、どの店舗で、どれだけの電気を使ったかがひと目で把握でき、事務作業のミスも減らせます。事務作業をデジタル化することで、管理コストの削減も同時に実現することが可能です。
全店舗のデータを一覧で確認できる環境があれば、電気代の増減を店舗ごとに迅速に把握できるでしょう。
管理部門の負担を減らす
拠点が増えるほど、各店舗の契約更新やプラン変更の期限を管理することは困難です。これらを本部で一括管理できる体制を整えることで、スタッフはより付加価値の高い業務に集中できるようになります。管理のブラックボックス化を防ぎ、常に最適な契約状態を維持し続けることが長期的な利益につながります。
また、法人全体として一括契約をまとめることで、スケールメリットを活かした単価交渉が可能になるケースも少なくありません。組織としてのバイイングパワーを活かし、有利な条件を引き出すことも、多店舗運営ならではの取り組みと言えるでしょう。
削減分を店舗運営に回す
電力コストの削減によって生まれた利益は、店舗運営に再投資できる資金になります。食材の質を一段階上げたり、古くなった店内の備品を新調したり、あるいはスタッフの待遇改善に充てたりすることも可能です。経費削減で終わらせず、削減した資金を再投資して売上を伸ばす、攻めの経営へと転換しましょう。
電気代で月に数万円の削減ができれば、それは年間で数十万円から数百万円という投資資金になります。無理な節電ではなく、削減したコストを店舗運営に活かす発想が重要です。
まとめ
レストランの電気代削減は、現場での地道な節電対策と、契約プランの見直しという両輪で進めることが最も確実な道です。まずは現状の使用実態を正しく把握し、どこに無駄があるのかを見つけ出すことから始めましょう。そして、その削減努力を一過性のもので終わらせず、長期的な経営基盤の強化につなげていく仕組み作りが大切です。
アドバンス・キドでは、低圧・高圧どちらの契約にも対応した新電力プランのご提案をしています。使用状況をもとにプランを比較し、切り替え後の活用方法までトータルでサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

