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病院の固定費削減方法とは?内訳から仕組み、効果が高い電気代の見直しまで解説

病院経営において、収益が伸びても固定費の負担が重くなりやすいのは大きな悩みです。人件費や水道光熱費などの維持費は、患者数の増減にかかわらず一定水準で発生し続けます。医療安全や診療体制を維持する義務があるため、安易に削減できないこれらの費用が、経営を圧迫する要因になりやすいといえます。
本記事では、病院の固定費の内訳から高くなる仕組み、削減効果が高い電気代の見直しまで解説します。
具体的な内訳
まず、病院のコスト構造を確認しましょう。医業費用は固定費と変動費に大きく分類されますが、このうち患者数や診療件数に左右されにくい費目が固定費です。ここでは主要な固定費である人件費や水道光熱費と、それらとは別に整理すべき病院特有の費用を見ていきます。
人件費の比率
病院の固定費の中で、最も割合が高いのは人件費です。厚生労働省の『医療経済実態調査』によると、給与費の割合は55〜58%程度で推移しています。
この数値は病院の種類や年度により異なりますが、他業種と比べて人件費率は総じて高水準です。背景には、医師や看護師などの専門職において、一定の人員体制を常時維持しなければならないという業界特有の事情があります。さらに、診療科の数や病床数の拡大に伴って必要な人員も増加します。したがって、規模が大きい病院ほど人件費率が高くなる傾向があります。
水道光熱費の割合
水道光熱費は人件費ほど高い比率ではないものの、金額としては軽視できない項目です。福祉医療機構(WAM)の調査によると、医業費用に占める水道光熱費の割合は平均的に1.9%前後で推移しています。比率自体は低く見えますが、契約条件の見直しによって確実な改善余地が見込める費目であり、削減の判断が難しい人件費とは性質が異なります。
なお、この比率は病院の規模やMRI・CTなどの設備状況、近年のエネルギー価格の変動によって上下します。設備投資が進んだ病院ほど電力使用量は増える傾向にあり、規模の拡大に比例して負担が大きくなるケースも少なくありません。
病院特有の費用
一方で、医療材料費や医薬品費、検査委託費などは診療量に応じて増減するため、固定費ではなく「変動費」に近い性質を持つ費用として区別しておきましょう。
これらは診療行為に直接関わる費用であり、診療の質や患者への提供サービスに直結するため、単純な単価交渉だけでは対応しきれない面があります。削減の判断には極めて慎重さが求められる領域です。
病院特有の費用としては、次の3点が挙げられます。
- 手術用材料:ガーゼや縫合糸など消耗頻度の高い品目
- 造影剤:検査件数に比例して増える薬剤費
- 検査委託費:外部機関へ依頼する血液検査などの委託料
これらの費目は診療量と連動するため、固定費の見直しとは異なる視点が必要になります。
固定費が高い仕組み
続いて、固定費がなぜ高くなりやすいのか確認しましょう。人件費と電気代、それぞれの高騰要因を解説します。
人件費と24時間体制
病院は24時間365日、診療体制を維持する必要があります。夜勤や当直を含めた人員配置も避けて通れません。この体制を支えるため、深夜・早朝の勤務にも人件費が発生し続けます。交代制勤務を維持する構造そのものが、人件費を押し上げる要因といえるでしょう。
夜勤帯には、日勤帯と同等の人員を確保する診療科も多くあります。勤務時間に応じた手当も加算されます。単純な人数以上に、費用がかさみやすい構造です。
空調・照明による電力消費
病院では手術室や集中治療室など、常に一定の室温・照明を保つ必要がある区画が多く存在します。これらの設備は昼夜を問わず稼働し続けるため、一般的なオフィスビルよりも電力消費量が多くなりがちです。
この空調と照明の稼働時間の長さが、電気代を高くする大きな要因です。さらに感染対策の観点から、換気回数を通常より多く設定している区画もあり、これが空調負荷をさらに高める原因にもなっています。
デマンド値の影響
高圧契約や特別高圧契約の電気料金には、独自の仕組みがあります。一般的には、当月を含む過去12か月の最大需要電力(デマンド値)をもとに基本料金が決まる方式です。
一度でも高い数値を記録すると、その後は過去最大値として一定期間基本料金に反映され続けます。そのため、ピーク時の電力使用を抑える工夫があるかどうかで、年間の電気代は大きく変わります。病院は複数の設備が、同時に高負荷となる時間帯が発生しやすい施設です。デマンド値の管理が重要な意味を持ちます。
デマンド値が上がりやすい場面には、次のようなものがあります。
- 夏季の空調稼働:外気温上昇に伴う冷房負荷の集中
- 手術件数の多い時間帯:清潔な環境を保つための空調負荷がピークに達する状況
- 厨房設備の稼働:昼食・夕食時間帯の調理機器の集中使用
これらの場面が重なるタイミングをあらかじめ把握しておくことが、ピークを抑える効果的な対策に繋がります。
電気代を優先する理由
数ある固定費の中でも、なぜ電気代から見直すべきなのでしょうか。人件費との違いを踏まえて解説します。
人件費より着手しやすい
人件費の見直しには、採用の調整や配置転換など、時間をかけた慎重なステップが必要です。急な人員削減は現場の負担増や離職を招く恐れもあるため、長い準備期間が求められるでしょう。
それに対して電気代は、契約プランや電力会社を変更するだけで進められる場合が多く、着手のハードルが低いという特徴があります。人員体制や診療スケジュールに手を加えずに済むため、経営判断としても比較的動きやすい領域です。
契約変更のみで完結する
電気代の見直しは、業務フローや人員体制を変える必要がありません。基本的には契約先の解約と新規契約の手続きだけで進められるため、現場のオペレーションに影響を与えない点が大きな利点です。もし契約内容の比較検討に迷う場合は、専門家へ相談するという選択肢もあります。
手続きの流れは、一般的には次のとおりです。
- 現契約の確認:検針票や請求書で契約プランを把握
- 見積もりの取得と比較:複数の新電力会社からプランを取り寄せる
- 供給開始までの期間:申し込みから1〜2か月程度で切り替え完了
なお、高圧契約では見積もりの比較や協議に時間がかかる場合もあるため、この流れを目安に余裕を持って進めるとよいでしょう。
医療の質を落とさない
電気代の契約見直しは、使用する電力量そのものを減らすわけではありません。同じ電力使用量のまま契約内容だけを最適化するため、診療体制や医療サービスの水準を完全に保ったまま取り組むことができます。
ただし、節電施策として空調制御などをあわせて行う場合は、現場への影響を個別に確認しておく必要があります。医療機器の稼働や室温管理は患者の安全にも関わるため、契約の見直しと節電施策は切り分けて検討する姿勢が望ましいでしょう。
見直しの進め方
最後に、電気代を見直す際の具体的な手順を確認しましょう。現状把握から専門家への相談まで解説します。
使用状況の可視化
まずは、自院の電力使用量や契約内容を正確に把握するところから始めましょう。過去の請求書を確認し、時間帯別の使用量やデマンド値の推移を整理します。この機会に総務や施設管理の担当者と請求書などを共有しておくと、その後の比較検討がスムーズになります。
可視化の際に確認したい項目は、主に次の3つです。
- 過去12か月分の請求書:月別の使用量とデマンド値の推移
- 時間帯別データ:昼間・夜間それぞれの電力使用量
- 契約内容の詳細:現在の基本料金単価と契約電力の数値
これらの項目を整理しておくと、新電力への切り替え検討がスムーズに進みます。
新電力への切り替え
現状把握ができたら、新電力会社への切り替えを検討します。低圧・高圧いずれの契約形態でも対応している会社があり、自院の使用状況に応じた最適なプラン選びが求められます。切り替え後も送配電ネットワークは従来と同じ大手電力会社の設備を使用するため、電気の供給品質の低下や、停電リスクが発生することは原則としてありません。
複数社から見積もりを取り、単価だけでなく契約条件や燃料費調整額の扱いまでしっかり比較しておくことで、切り替え後のギャップを防ぎやすくなります。
専門家への相談
契約内容が複雑で判断に迷う場合は、電力コンサルティング会社への相談も有力な選択肢です。第三者の専門的な視点で使用状況を分析してもらうことで、自院だけでは気づきにくい削減余地が見つかることもあります。
燃料費調整額の上限設定の有無や、市場連動型・固定型プランの違いなど、専門知識が求められる判断も多く存在します。院内に専門知識を持つ担当者がいない場合ほど、早めの相談が判断のスピードを高めてくれるはずです。
まとめ
病院の固定費は、人件費を中心に高い水準で推移しやすい傾向にあります。24時間体制や医療機器の稼働という病院ならではの構造が、その背景にあるといえるでしょう。
数ある固定費の中でも、電気代は医療の質を保ったままもっとも取り組みやすい項目です。まずは自院の使用状況を確認し、見直しの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
アドバンス・キドでは、電気の使用状況に応じた新電力会社・電力プランのご提案を行っています。低圧・高圧いずれの契約にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

