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スーパーの電気代を削減する7つの重要ポイント|今すぐ着手できるコスト削減策を徹底解説

原材料費や人件費高騰に加え、電気代に悩んでいませんか?24時間稼働が多いスーパーマーケットにとって、電気代は経営を圧迫する大きなコストです。
「電気代は必要経費」と諦めるのはもったいないかもしれません。電気代は正しい知識と対策で削減でき、その分は直接利益につながります。
この記事では、多くのスーパー経営者が見落としがちなコスト削減のポイントから、今すぐできる具体的な施策まで解説します。設備投資から運用改善、ぜひ最後までご覧になり、利益改善の第一歩を踏み出してください。
なぜ今、スーパーの電気代削減が急務なのか?
コスト削減の重要性は常に変わりませんが、なぜ今、特に「電気代」の削減が経営上の急務となっているのでしょうか。その背景には、無視できない外部環境の変化と、コスト構造へのインパクトがあります。
電気代高騰の現状と今後の見通し
2022年頃からの燃料価格高騰と円安により、電気料金はかつてないほど上昇しました。これは主に「燃料費調整額」の大きなプラスが原因です。
政府の一時的な負担軽減策も縮小・終了しており、今後も電気代が高騰するリスクはあります。このような不確実な時代だからこそ、自社でコントロールできるコスト削減策が安定経営の鍵となります。
電気代はコスト削減の「最後の聖域」
売上を10万円増やすのと、経費を10万円削減するの、どちらが簡単だと思いますか?多くの場合、答えは後者、つまり経費削減です。
特に電気代は、一度対策をすれば効果が続く「ストック型のコスト削減」です。毎月必ず発生する費用なので、たとえ数パーセントの削減でも年間で見ると大きな金額になります。これまで固定費と見なされがちだった電気代に手をつけることは、利益改善のための「最後の聖域」とも言えるでしょう。
削減したコストは「利益」に直結する
言うまでもありませんが、コスト削減によって生まれたキャッシュは、そのまま営業利益の増加に繋がります。
例えば、電気代を年間50万円削減できれば、それは50万円の利益が増えることと同じです。この資金を商品の仕入れ、人材採用、新たな販促活動などに再投資することで、さらなる事業成長のサイクルを生み出すことができます。スーパーの電気代削減は、単なる守りの経費削減ではなく、未来への投資原資を生み出す「攻めの経営改善」なのです。
まずは現状把握から。自社の電気代の内訳を知る
スーパーの電気代、3大要素は「空調・照明・冷凍冷蔵」
スーパーマーケットの電力消費において、特に大きな割合を占めるのが以下の3つです。
- 空調設備: 約40%
- 照明設備: 約25%
- 冷凍・冷蔵ケース: 約20%
つまり、この3つの分野に的を絞って対策を講じることが、スーパーの電気代を効率的に削減する近道となります。
電気料金明細書で確認すべき2つのポイント
次に、毎月届く電気料金の明細書を確認しましょう。特に重要なのが以下の2項目です。
- 契約電力(単位:kW): 電気の基本料金を決定します。過去1年間で最も電力を使用した30分間(最大需要電力=デマンド値)で決まり、1年間は変更されません。
- 使用電力量(単位:kWh): 電気の従量料金を決定します。実際に使用した電力量に応じて変動します。
電気代を削減するとは、この「基本料金」と「従量料金」の両方を下げる取り組みに他なりません。
【設備編】効果大!長期的な視点で取り組む削減ポイント3選
初期投資はかかりますが、大きなリターンが期待できるのが設備の更新です。長期的な視点で検討しましょう。
【ポイント①】照明のLED化:即効性と高い費用対効果
店舗の照明を従来の蛍光灯からLEDに切り替えることは、最も基本的かつ効果的な施策です。
- 消費電力を約50%~70%削減
- 寿命が長く、交換の手間とコストを削減
- 生鮮食品の色を鮮やかに見せる高演色性の製品もある
初期費用はかかりますが、数年で投資を回収できるケースがほとんどであり、費用対効果は抜群です。
【ポイント②】業務用空調(エアコン)の見直し:デマンド値への影響大
電力消費の約4割を占める空調設備の見直しも欠かせません。10年以上前の古い機種を使用している場合、最新の省エネ型エアコンに更新することで、消費電力を大幅に削減できます。特に、夏の冷房ピーク時の消費電力を抑えることは、基本料金を決めるデマンド値の抑制に直結します。
3-3. 【ポイント③】冷凍・冷蔵ケースの高効率化:年間消費電力を大幅カット
24時間稼働する冷凍・冷蔵ケースも、電力消費の大きな要因です。最新の省エネモデルは、断熱性能や冷却効率が格段に向上しており、年間消費電力を大きく削減します。また、夜間や閉店時にケースにナイトカバー(夜間カーテン)を設置するだけでも、冷気が逃げるのを防ぎ、約5%~10%の節電効果が期待できます。
【運用改善編】コストゼロから始める削減ポイント2選
設備投資が難しい場合でも、日々の運用を見直すだけで電気代は削減できます。コストゼロで今すぐ始められる施策です。
【ポイント④】ピーク電力を抑える「デマンド管理」の徹底
電気の基本料金を下げる鍵は、最大需要電力(デマンド値)をいかに低く抑えるかです。デマンド監視装置(デマコン)を導入すれば、設定したデマンド値を超えそうになるとアラートで知らせてくれるため、空調を一時的に弱めるなどの対策が取れます。装置の導入コストはかかりますが、基本料金を確実に下げられる有効な手段です。
【ポイント⑤】従業員全員で取り組む運用ルールの見直し
従業員一人ひとりの協力も不可欠です。以下のようなルールを徹底するだけで、着実に電気代は削減できます。
- バックヤードや事務所の不要な照明はこまめに消灯する
- 空調の温度を適切に設定する(例:冷房28℃、暖房20℃)
- 冷蔵・冷凍ケースの扉はすぐに閉める
- エアコンのフィルターを定期的に清掃する
【外部活用編】賢く活用して投資負担を軽減するポイント
設備更新にはコストがかかりますが、公的な支援制度をうまく活用すれば負担を軽減できます。
【ポイント⑥】省エネに関する補助金・助成金の活用
国や地方自治体は、中小企業の省エネルギー設備導入を支援するための補助金・助成金制度を数多く用意しています。代表的なものに「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」などがあります。公募期間や要件が毎年変わるため、専門家や自治体の窓口に相談し、活用できる制度がないか確認することをおすすめします。
【最重要】簡単で効果が出やすい削減ポイント
これまで6つのポイントを解説してきましたが、実は設備投資も運用ルールの変更も不要で、かつ最も簡単で効果が出やすい究極の方法が存在します。
【ポイント⑦】電力会社の契約見直し・新電力への切り替え
それが、電力会社の契約プランを見直し、より料金の安い「新電力」に切り替えることです。2016年の電力小売全面自由化により、すべての消費者が自由に電力会社を選べるようになりました。しかし、この制度を活用できていないスーパーマーケットがいまだに多く存在するのが実情です。
なぜ「新電力」への切り替えが効果的なのか?
「なぜ電力会社を変えるだけで安くなるのか?」「電気の品質は大丈夫か?」と不安に思われるかもしれません。ご安心ください。
- 電気の品質は全く同じ: 新電力に切り替えても、電気はこれまでと同じ地域の電力会社の送配電網を使って供給されるため、停電が増えたり、電圧が不安定になったりすることはありません。品質は全く同じです。
- 安さの理由: 新電力は、自社の発電所を持たなかったり、人件費や広告費などの間接コストを抑えたり、電力の調達方法を工夫したりすることで、大手電力会社よりも割安な料金プランを提供しています。
設備投資ゼロで、年間10%以上のコスト削減事例も
新電力への切り替えは、Webや書面での簡単な手続きだけで完了し、工事や設備投資は一切不要です。にもかかわらず、多くのケースで年間電気料金の5%~15%程度の削減が期待できます。月々の電気代が100万円であれば、年間で60万円~180万円もの利益改善に繋がる可能性があるのです。
まとめ:自社に合った削減策から、今すぐ行動を起こそう
本記事では、スーパーの電気代を削減するための7つの重要ポイント、すなわち照明のLED化、業務用空調の見直し、冷凍・冷蔵ケースの高効率化、デマンド管理の徹底、運用ルールの見直し、補助金・助成金の活用、そして最も重要な新電力への切り替えについて解説しました。まずは自社の電気代の内訳を把握し、できることから着手することが大切です。
特に、ポイント⑦でご紹介した「新電力への切り替え」は、リスクや手間なく始められる最も効果的な一手です。他の施策と並行して、まずはこちらの検討から始めてみてはいかがでしょうか。
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