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蓄電池の在り方について(熊本 非常電源足りず)

2026年8月13日の日本経済新聞に「熊本 非常電源足りず」「再エネ普及も蓄電池少なく」「家庭の自衛策、支援不可欠」という記事が記載されてました。内容は、真夏に最大震度7を観測した熊本地震で3日間停電したことについてです。災害時に自家発電を期待していた再生可能エネルギーですが、今回の地震では、太陽が出ていない夜には使えないという盲点を突つかれました。九州は太陽光発電の普及率が他の地域より高いですが、それでも夜は、被災者の多くがクーラーが利用できる自動車に駆け込み、家庭や避難所での非常用電源不足が露呈しました。夜間などに太陽光発電の電気を使うのに蓄電池が欠かせませんが、既存住宅での蓄電池の導入率は全国で1%にも満たない状況です。命の危険が高まる酷暑下の停電を避けるには、家庭の電力自衛が急務になります。今回の熊本地震では、最大約4万8千戸が3日間の停電しましたが、再生可能エネルギーを使って停電を防ぐ対策が不十分であることが判明しました。熊本では、太陽光発電の普及率は9.3%で全国の6%に比べて高い普及率ですが、太陽光発電+蓄電池になると、1~3%しかありません。世界の流れは、蓄電池を普及させる方向に進んでおり、日本もその方向へ動いています。IEAの2025年実績108GWという数字を見ると、蓄電池は「補助設備」から「電力インフラ」へ移行していると考えてよいでしょう。
今回は、蓄電池の普及に絞って言及していきます。
目 次
1.蓄電池の役割について。
2.世界の状況について
3.日本の状況について
4.中小企業の対応について
5.アドバンス・キド株式会社の提案
1.蓄電池の役割について――特に「夜間の発電不足」をどう補うか
太陽光発電の最大の弱点は、非常にシンプルです。昼間は発電できるが、夜は発電できない。そこで蓄電池が「時間を移動する装置」として重要になります。
昼間 太陽光発電⇒①施設で使用⇒②余った電気⇒蓄電池
夜間 蓄電池⇒照明・冷蔵庫・通信・空調⇒「太陽が出ていない時間」を支える
つまり、太陽光=電気をつくる、蓄電池=電気を時間を超えて持ち運ぶという関係です。
さらに重要なのが「災害時」です。
平常時には、太陽光 → 蓄電池 → 電気代削減
ですが、
災害時には、太陽光 → 蓄電池 → 非常用電源
になります。
したがって蓄電池は、単なる「電気代削減設備」ではなく、「電力BCP設備」として考える必要があります。
ただし、蓄電池だけでは十分ではありません。
例えば、地震発生⇒系統停電⇒夜間⇒35℃以上⇒エアコン大量使用となれば、蓄電池にも限界があります。
そのため、太陽光+蓄電池+非常用発電機+系統電力 という複数電源の組み合わせが現実的です。
さらに、避難所や工場、店舗などでは、「全館を動かす」のではなく「重要負荷だけを動かす」という考え方が重要です。
例えば、
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優先度 |
電気を使う設備 |
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最優先 |
通信・照明・医療機器 |
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高 |
冷蔵庫・冷凍庫・給水ポンプ |
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高 |
サーバー・防災設備 |
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中 |
最低限の空調 |
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低 |
一般コンセント |
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後回し |
EV充電など |
こうすれば、同じ蓄電池容量でも長時間使えます。
2.世界の状況況について
世界では、すでに蓄電池を再エネの弱点を補うための電力インフラとして急速に導入しています。IEAによると、2025年の世界の蓄電池導入量は108GWに達し、2024年から約40%増加しました。2021年と比較すると累積導入容量は11倍になっています。
特に注目したいのが、中国、米国、欧州、豪州、中東 です。
2025年の導入量では中国が約63GW、米国が19GW。豪州では導入量が急増し、中東でもサウジアラビアを中心に蓄電池が拡大しています。
世界の方向性としては、「再エネを増やす」から、「再エネ+蓄電池+送電網+AIで制御する」という段階に移っています。
特に米国や豪州では、大規模蓄電池が、昼間の余剰電力を吸収 → 夕方・夜間に放電する役割を担っています。
3.日本の状況について
日本も蓄電池政策を強化しています。資源エネルギー庁は、再生可能エネルギーの導入拡大とともに、系統用蓄電池などの電力貯蔵システムへの補助制度を進めています。2026年度も関連する支援制度が展開されています。
また、九州では太陽光発電が大量に導入されているため、「昼間に電気が余る」という問題があります。
そこで、
<昼間> 太陽光⇒余剰電力⇒蓄電池
<夕方・夜間> 放電
という仕組みが重要になります。
つまり蓄電池は、「夜間の電力不足対策」だけではなく、「昼間の再エネ余剰電力を捨てないための装置」でもあります。
資源エネルギー庁も、系統用蓄電池によって需給バランスを改善し、再エネ導入可能量を増やす役割を説明しています。
4.中小企業の対応について
BCP対策は必要ですが、いきなり大型蓄電池を購入する必要はありません。
次の5段階で考えることをお勧めします。
STEP 1 電力使用量を見える化
まず、最大電力、月間使用量、昼間使用量、夜間使用量、空調電力、冷蔵・冷凍設備、生産設備、非常時に必要な電力を把握します。
STEP 2 電気料金を削減する
電力会社・料金プランの見直し⇒毎月の固定費を削減⇒浮いた資金を蓄電池・太陽光・BCPへ再投資という循環をつくります。
STEP 3 重要負荷を決める
「停電したら何を止めてはいけないか」を経営者と一緒に検討します。
例えば工場なら、生産設備全部を動かす必要はない。
しかし、サーバー、通信、防犯、冷却、冷凍庫、排水、防災設備
などは止められない場合があります。
STEP 4 太陽光+蓄電池を検討
そこで、太陽光発電+蓄電池を検討します。
平常時:電気代削減
災害時:非常用電源
昼 間:太陽光を利用
夜 間:蓄電池を利用
という4つのメリットが生まれます。
STEP 5 非常用発電機とのハイブリッド
さらに重要なのが、蓄電池だけに依存しないこと。例えば、太陽光+蓄電池+非常用発電機+系統電力 という構成です。蓄電池は短時間~数時間の電力品質・非常用電源に強く、発電機は燃料が確保できれば長時間運転に向きます。
「蓄電池か発電機か」ではなく、「蓄電池と発電機をどう組み合わせるか」がBCPのポイントです。
5.アドバンス・キド株式会社の提案
これからは、「電力BCP診断」が必要です。
① 電気料金診断
現在の電力契約を分析⇒電気料金削減額を算出
② 電力使用診断
工場・店舗の電力使用状況を分析⇒どこで電気を使っているかを把握
③ 災害時電力診断
停電した場合、何時間、何を動かせばよいのか、ニーズを調べる。
④ 資金計画
電気代削減額⇒蓄電池・太陽光への再投資⇒BCP強化⇒さらに電力コスト削減という循環をつくります。
再生可能エネルギーを導入するだけでは、災害に強い会社はつくれません。昼に発電した電気を、夜に使います。平常時に貯めた電気を、停電時に使います。太陽光+蓄電池+非常用電源+電力契約を組み合わせて、電気代削減とBCPを同時に実現していく必要があります。つまり、「電気料金削減」→「エネルギー管理」→「蓄電」→「非常用電源」→「BCP」という流れを考えていきましょう。
以 上

