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送電線の送電ロスについて!!

2026年9月7日の日本経済新聞に「送電ロス 3割減」「住商が電線実用化へ」「出資先仏社の技術活用」という記事が掲載されてました。この記事を読んだ私は、鹿児島の勤務時代に送電ロスゼロの電線が欲しいという注文があったことを思い出しました。常温で送電ロスがゼロになる電線ができれば、画期的なことです。日立グループでは、大量生産ではないですが、当時から作ってました。今回の記事では、住友商事が発電所でつくられた電力の一部が利用者に届くまでに失われる「送電ロス」を3割減らす電線を国内で実用化する内容です。住友商事が出資するフランスの企業エプシロン・コンポジット社の技術で電線の芯を鋼鉄の芯から炭素繊維複合材に替えて使用すると、送電ロスが減るとのことです。エプシロン・コンポジット社は、この電線をヨーロッパを中心に1万キロメートル以上の販売実績があります。ただ、鋼鉄製と違い弱点があります。炭素繊維の芯材は大きく曲げると折れやすいです。また、折れても外観からは把握しにくく、品質管理に課題があります。この課題のため、日本には輸入されてません。住友商事は、この課題を解決する検査機を2026年内に実用化する予定です。1回の検査で2キロ以上の電線の異常の有無を確認することができます。住友商事は、炭素繊維を使う電線と検査機をセットにして、送配電の会社や電線メーカーなどに提案し、敷設への実証を進めるとのことです。
新しい電線は、「鉄の芯を炭素繊維複合材に置き換え、その分アルミを増やして、軽く・たわみにくく・たくさんの電気を流せる電線にする」という技術です。これは今後、AIデータセンター、半導体工場、EV、再生可能エネルギーなどで電力需要が増える日本にとって、かなり重要な技術だと思います。
今回は、送電線の送電ロスについて言及します。
1.そもそも「送電ロス」とは
2.世界の状況
3.日本の状況
4.中小企業の対応について
5.アドバンス・キド株式会社の提案
1.そもそも「送電ロス」とは
発電所で100の電気を作っても、送電線や変圧器などを通って企業や家庭に届くまでに一部が失われます。特に送電線では、「電力損失 ≒ I²R」という関係があります。
- I=電流
- R=電線の抵抗
つまり、大きな電流を流すほど損失が急激に増えるわけです。
日本の送配電ロス率は数%規模ですが、日本全体の電力量から考えると非常に大きなエネルギーになります。東京電力の送配電ロス率も2021年度で4.5%とされています。
・従来の電線
代表的な架空送電線は、「アルミの電線 + 鋼鉄の芯」という構造です。鋼鉄の芯は「電気を流すため」というより、電線を支える強度・引張力を担当する骨格です。ところが鋼鉄は重いため、電線を太くしたり、アルミを増やしたりすると重量の問題が出てきます。
そこで住友商事が進めている電線は「鋼鉄の芯 → 炭素繊維複合材」に置き換えます。
・なぜ炭素繊維でロスが減るのか
炭素繊維そのものが電気をよく通すからではありません。むしろ、「炭素繊維が軽くて強い⇒芯を細く・軽くできる⇒電線の外側に配置するアルミの量を増やせる⇒電気抵抗を下げられる⇒送電ロスが減るという仕組みです。エプシロン・コンポジット社によると、炭素繊維複合材の芯は高強度・低熱膨張で、最大180℃程度の高温運用にも対応でき、構成によっては従来のACSR(鋼心アルミより線)と同程度の重量・径で最大2倍程度の送電容量を実現できます。さらに重要なのが「たわみ」です。電線に大量の電流を流す⇒電線が発熱する⇒電線が伸びる⇒電線が垂れ下がるという問題があります。炭素繊維複合材は熱による伸びが小さいため、高温になってもたわみにくい。したがって、「もっと電気を流したいが、電線が熱で垂れてしまう」という従来の制約を緩和できます。
2.世界の状況
世界では現在、「発電量を増やす」だけでなく「送電網そのものを高効率化する」ことが重要なテーマになっています。
理由は大きく4つあります。
① AI・データセンター
AIの普及によってデータセンターの電力需要が増えています。これは今回の日経記事でも重要な背景です。発電所を新しく作っても、「発電所 → 送電網 → データセンター」という電力ネットワークがボトルネックになる可能性があります。
② 再生可能エネルギー
太陽光・風力は、発電場所と電力消費地が一致しないケースがあります。例えば、北海道の風力、九州の太陽光、洋上風力などで発電した電力を大都市圏へ送る必要があります。したがって、「作った電気を遠くまで効率よく運ぶ」技術が重要になります。
③ 既存送電網の有効活用
新しい鉄塔・送電線を建設するには、用地取得、環境アセスメント、鉄塔建設、工事費、地域との調整などに時間がかかります。
一方、既存の鉄塔を利用して電線を張り替える「Reconductoring(張替え)」なら、既存インフラを活用できます。エプシロン・コンポジット社は、新設送電線に比べて既存設備を利用する張替え方式の方が、期間・コスト面で有利になる可能性を示しています。
④ 高圧直流送電(HVDC)・超電導などとの競争
世界では、高圧直流送電(HVDC)、超高圧送電、超電導送電、高温低サグ電線(HTLS)、炭素繊維複合材電線、デジタル送電網などが研究・実用化されています。つまり今後は、「発電技術」だけでなく「電気を運ぶ技術」の競争になっていくと考えられます。
3.日本の状況
日本にとって今回の技術は特に重要です。日本には3つの問題があります。
問題① 電力需要が増える
今後、「AI⇒データセンター⇒半導体工場⇒電力需要増加」という流れが予想されます。さらにEVや電化も電力需要を押し上げます。
問題② 送電網の制約
日本では地域によって送電網の余力に違いがあります。
特に、「電気を作れる場所」と「電気を大量に使う場所」が一致しないことが問題になります。
問題③ 新しい送電線を簡単には作れない
日本は、山地が多い、人口密集地域が多い、用地取得が難しい、建設コストが高いという事情があります。そこで、新しい鉄塔を大量に作るのではなく、既存の鉄塔・送電ルートを最大限活用するという考え方が非常に重要になります。
今回の炭素繊維複合材電線は、この方向性で進んでます。住友商事は2024年にエプシロン・コンポジット社へ出資しており、同社の架空送電線用CFRP(炭素繊維強化プラスチック)芯材を日本を含む市場へ展開する方針を示しています。また、これは突然出てきた技術ではありません。日本でも炭素繊維複合材を芯に使い、交流抵抗を20~27%低減したコンポジット電線の研究・実証が以前から行われています。
4.中小企業の対応について
中小企業が自社の電線をこの新技術に交換するという話ではありません。基本的には送配電事業者側のインフラ技術です。中小企業は、この技術によって生まれる「電力インフラの余力」をどう経営に活かすか、という視点が重要です。
中小企業が考えるべき5項目
① 電気料金を「単価」だけで見ない
電気料金には、
- 電力量料金
- 基本料金
- 燃料費調整
- 市場価格
- 再エネ賦課金
- 契約電力
などがあります。したがって、「安い電力会社に変える」だけではなく、電力コスト全体を見る、必要があります。
② 自社のピーク電力を確認する
送電網が強化されても、自社が最大需要電力を大きくしてしまえば基本料金などに影響します。そこで、デマンド管理が重要になります。
③ 空調・冷凍・照明などを見直す
特に、「商業施設、工場、倉庫、ホテル、病院、介護施設」などは電力使用量が大きいため、「電力単価 × 使用量 × 最大需要電力」の3方向から見るべきです。
④ 太陽光+蓄電池
送電網から買う電気を減らすため、「太陽光 → 自家消費 → 蓄電池」という仕組みも重要になります。
⑤ 電気を「経費」から「経営資源」に変える
これからは、電気をいかに安く買うかだけではなく、電気をどう作り、どう貯め、どう使い、どう制御するかという時代になると思います。
5.アドバンス・キド株式会社の提案
「電気を安くする」から「電力インフラを賢く使う」時代になりました。
提案① 電気代の総点検
現在の電力契約を診断します。契約電力、使用電力量、最大デマンド、電力単価、市場連動型か固定型か、燃料費調整、再エネ賦課金、複数拠点などを確認します。
そして、「本当に今の契約が最適なのか?」を検証します。
提案② 新電力への切替比較
現在の状況を確認する必要があります。結果的に切り替えなくても、自分が支払っている電気料金が高いのか安いのかを認識するのは大事です。そのため、現在契約している電力会社の電気料金とアドバンス・キドが提案する電力会社の実データを比較します。
特に高圧契約の企業には効果的です。
提案③ 「電線」まで含めた電力コストを認識する
「電気代を下げる方法は、電力会社を変えるだけではありません。実は日本では、電気を運ぶ電線そのものも進化しています。」そこから、「発電⇒送電⇒変電⇒配電⇒企業⇒工場・店舗」という「電気の流れ」があります。そして、「電気代削減は、電力会社選びだけではなく、電気が作られてから使われるまでを全部見る時代になっています。」
「電気代削減」→「固定費削減」→「企業の競争力」の流れが必要になります。
例えば、
① 送電技術の進歩⇒送電ロスを削減
② 電力網の容量アップ⇒AI・半導体・データセンターなどの電力需要に対応
③ 企業の電力需要増加⇒電気代・固定費が経営課題になる
④ 中小企業⇒電力契約・デマンド・省エネ・自家消費を見直す
⑤ アドバンス・キド⇒「電気代を下げ、固定費を下げ、企業の利益を守る」ことを提案する。
という流れです。
「電線も進化して、同じ送電網でより多くの電気を、より少ないロスで送れる時代になっています。だからこそ企業側も、電気を『いくらで買うか』だけでなく、『どう使うか』を検討する必要があります。
送電ロスが3割削減される時代が徐々に近づくことは確かだと思います。地球温暖化で豪雨災害が頻発しており、停電が多くなっています。
普段から自分の会社に起こる事象を予測して、対応を考えていきましょう。
以 上

