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契約電力とは?決まり方や基本料金の計算方法、電気代を下げる方法を解説

法人の電気料金の請求書では、使用量が少ない月でも、基本料金がほぼ同じ額で計上されています。電気料金は使った量に応じた電力量料金と、契約電力をもとに計算する基本料金で構成され、後者は使用量に関係なく毎月かかるためです。高圧受電の施設では、夏のある日の30分間に記録したピークが、その後1年間の契約電力になることもあります。決まり方を理解してピークに手を打つことで、設備を入れ替えずに基本料金を下げられます。
本記事では、契約電力について、決まり方や基本料金の計算方法、電気代を下げる方法を詳しく解説します。
契約電力とは
契約電力は毎月の基本料金を決める数値で、電圧の区分によって決め方が変わります。定義から区分ごとの考え方、検針票での確認方法まで整理します。
基本料金を決める電力の上限値
契約電力は、電力会社との契約で定める使用できる電力の上限値で、kW(キロワット)で表します。基本料金は契約電力に1kWあたりの単価を掛けて計算され、使用量の少ない月にも同じ水準でかかります。高圧の契約では上限を超えた瞬間に電気が止まることはなく、超過時の扱いは実量制か協議制かによって異なります。契約電力の水準が、電気代のうち使用量に関係なくかかる部分の大きさを決めています。
低圧と高圧で異なる契約電力の考え方
契約電力の考え方は、50kWを目安に低圧と高圧で分かれます。50kW未満の低圧電力では、使用する機器の容量の合計か、主開閉器(メインブレーカー)の容量をもとに契約電力を決めます。これに対し、50kW以上500kW未満の高圧では、メーターが記録した実際の使用電力の最大値が基準となり、日々の電気の使い方が契約電力に表れます。500kW以上の高圧は、電力会社との協議で決める仕組みです。
検針票・請求書での確認方法
契約電力は、毎月の検針票や請求書の契約電力の欄で読み取れます。高圧の契約では、当月の最大需要電力(その月で最も大きかったデマンド値)と力率もあわせて記載されていることが多く、3つの数値から基本料金の内訳がわかります。検針票を1年分並べると、契約電力を押し上げた月を特定できます。
契約電力の決まり方
高圧の契約電力は規模によって決め方が異なり、自社がどちらに当たるかで下げ方も変わります。規模ごとの決め方と、契約電力を超えて使ったときの扱いを整理します。
500kW未満は過去1年の最大デマンド値で決まる実量制
契約電力500kW未満の高圧契約では、当月を含む過去12か月の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力になります。最大需要電力は、月ごとのデマンド値(30分間の平均使用電力)の最高値です。契約電力は毎月更新され、高い値を記録した月が12か月の枠から外れると、次に高い値へ切り替わります。申し込みを経ずに変わる分、施設の使い方がそのまま基本料金に反映されます。
500kW以上は電力会社と協議して決める協議制
契約電力500kW以上の高圧契約では、需要家と電力会社の協議によって契約電力を決めます。協議では、使用する設備の負荷や受電設備の容量、同じ業種の負荷率(平均使用電力と最大使用電力の比率)などをもとに、1年間の最大需要電力を見込みます。毎月の実績で自動的に変わることはありません。設備の増設などで使い方が変わる際は、契約の更新前に見直しを協議します。
契約電力を超過した場合の扱い
実量制では、超えた月の最大需要電力が新しい契約電力となり、その月を含む12か月分の基本料金が上がります。追加の請求はないものの、1回の超過が1年分の負担に広がります。協議制では超過時の扱いが契約条件によって異なり、超過した電力に契約超過金を課す契約もあります。超過時の条件は約款に定められており、ピーク対策の優先度を決める判断材料になります。
基本料金の計算方法
基本料金は、契約電力が同じでも力率によって金額が変わります。計算式の成り立ちと、具体的な金額の出し方を説明します。
契約電力×単価×力率割引で決まる計算式
高圧電力の基本料金は、多くの料金プランで契約電力×基本料金単価×(185−力率)÷100の式で計算します。基本料金単価は契約電力1kWあたりの月額で、金額は契約先の料金表や約款に定められています。式の最後の(185−力率)÷100は、力率に応じて基本料金を割り引いたり割り増したりするための係数です。力率が85%のとき係数は1.00となり、基本料金は契約電力×単価のままです。施設側の取り組みで動かせるのは、このうち契約電力と力率の2つです。
力率による割引・割増の仕組み
力率による調整は、85%を基準に1ポイントごとに1%ずつ基本料金を増減させる仕組みです。力率とは、電力会社から送られた電気のうち、照明やモーターを動かすなど実際の仕事に使われた割合を指します。モーターを多く使う施設では、仕事に使われずに行き来する電気が増え、力率が下がる傾向があります。基準の85%を上回ると割引、下回ると割増となり、力率90%の月は基本料金が5%安く、80%の月は5%高くなります。キュービクル内の進相コンデンサ(力率を改善する機器)で力率を高く保つと、契約電力が同じでも基本料金を抑えられます。
計算例で見る基本料金
数値を当てはめると、力率の差だけで年間数十万円の開きが生じます。ここでは、契約電力200kW、基本料金単価1,800円/kW(説明用の仮の数値)の施設を想定します。契約電力と力率は、検針票の数値をそのまま式に使えます。力率ごとの月額は次のとおりです。
- 力率95%の月:200kW×1,800円×0.90=324,000円
- 力率85%の月:200kW×1,800円×1.00=360,000円
- 力率80%の月:200kW×1,800円×1.05=378,000円
力率95%と80%の差は月54,000円、1年で648,000円です。契約電力を下げた際の減額も、同じ式で試算できます。
デマンド値と契約電力の関係
実量制の契約電力はデマンド値の記録で決まり、日々の電気の使い方が翌年の基本料金にまで持ち越されます。デマンド値の計り方と、値が上がる場面を取り上げます。
デマンド値は30分間の平均使用電力
デマンド値は、電力会社のメーターが30分ごとに区切って計測した平均使用電力です。計測は毎時0分から30分、30分から60分の区間で行われます。たとえば、30分のうち15分間だけ300kWを使い、残りを100kWに抑えた区間のデマンド値は200kWです。瞬間の最大値ではなく平均で評価されることが、施設側でデマンド値を管理する余地を生んでいます。
一度のピークが1年間の基本料金に影響する仕組み
1つの区間で記録した高いデマンド値は、実量制のもとでは以後1年間の契約電力になります。8月に250kWを記録した施設では、他の月が200kW前後で推移したとしても、翌年7月まで契約電力は250kWのままです。単価1,800円/kW、力率85%とすると、50kWの差は1年で1,080,000円の負担増です。年間の最大値を記録しやすい月に絞って対策することで、少ない手間で基本料金を抑えられます。
デマンド値が上がりやすい時間帯と設備
デマンド値は、多くの設備が同じ区間に動き出す時間帯に上がります。夏の午後や冬の朝は空調の負荷が高まり、始業時に設備を一斉に起動すると起動時の電流も重なります。設備では、電気炉や溶接機、大型のコンプレッサーなどが1台で大きな電力を使います。どの時間帯と設備で値が上がるかを特定できると、対策の対象を絞り込めます。
契約電力を下げて電気代を削減する方法
契約電力は運用の工夫で下げられ、実量制では効果が1年続きます。使用電力のピークを抑える方法と、契約先の見直しによる削減策について解説します。
設備の稼働時間をずらしてピークを抑える
手間をかけずに始められるのは、設備の起動時間を分散させるピークシフトです。始業時の空調を時間差で起動すると、同時に動く設備が減り、30分間の平均使用電力が下がります。電力を多く使う工程を、昼休みや夕方以降に移す方法もあります。実量制では過去の最大値が契約電力の基準として残り、その月が12か月の算定対象から外れた時点で、引き下げの効果が基本料金に表れます。
デマンド監視装置・デマンドコントローラーを活用する
人の注意だけでピークを避け続けるには限界があり、使用電力を常時見張る機器を使うと対策の精度が上がります。デマンド監視装置は、目標値を超えそうになると警報で知らせる装置です。デマンドコントローラーは、警報に加えて空調などを自動で制御し、人の操作を待たずにデマンド値を抑えます。担当者がすぐに動ける小規模な施設には監視装置、空調の台数が多い施設にはコントローラーが向きます。
新電力への切り替えで電力量料金も見直す
契約電力を下げると基本料金は減りますが、使用量に応じてかかる電力量料金は変わりません。電力量料金の単価は、新電力を含めた契約先の見直しで下げられる余地があります。高圧の電気は小売が自由化されており、契約先を替えた後も電気を届ける送配電網は変わりません。ピーク対策に契約先の見直しを組み合わせると、電気代のうち使用量に応じて増える部分にも手を打てます。
まとめ
契約電力は基本料金を決める数値で、500kW未満の高圧契約では過去12か月の最大デマンド値で決まります。基本料金は契約電力と単価に力率の調整を掛けて計算され、30分間のピークが1年分の金額に反映されます。
電気代を下げる際は、まず検針票で契約電力の推移を把握し、ピークが出る時間帯と設備を特定します。そのうえで設備の稼働をずらし、規模に応じて監視装置やコントローラーで管理します。ピーク対策に契約先の見直しを組み合わせ、電気代全体を下げましょう。
アドバンス・キドでは、新電力を活用した電気料金の削減をご提案しています。高圧・低圧いずれの契約にも対応しておりますので、契約電力の見直しとあわせた電気代のご相談も、お気軽にお寄せください。

