記事公開日 2025/06/18

高圧新電力選びの5つのポイント｜電気代削減とリスク回避の最適解

電力・エネルギー関連

「毎月の電気代、何とかしたいけど、どこから手をつけていいか分からない…」「高圧新電力に切り替えたいけど、安定供給やリスクが心配…」

もしあなたがこんな悩みを抱えているなら、この記事はまさにあなたのためのものです。

本記事では、電気代削減と事業リスク回避を両立させるための高圧新電力選びの「最適解」を徹底解説します。複雑な新電力の仕組みから、失敗しないための選び方、さらに切り替え後のメリット最大化まで、実践的なノウハウをわかりやすくご紹介。

この戦略を読み終える頃には、きっと自信を持って最適な新電力会社を選び、貴社の経営基盤をより強固なものにできるはずです。

1. はじめに：中小企業の電気代、本当に「削減」できる？

日本国内の中小企業経営者様にとって、電気代は事業を運営する上で無視できない大きなコストです。特に高圧電力を使用している場合、その金額は経営を圧迫する要因にもなりかねません。しかし、ご安心ください。2016年の電力自由化以降、状況は大きく変化しました。

電力自由化と高圧新電力の現状

かつて電力供給は、特定の地域電力会社による独占状態でした。しかし、電力自由化によって、多種多様な企業が電力供給事業に参入できるようになり、これを「新電力」と呼びます。特に、工場やオフィスビルなど、多くの電力を消費する中小企業が契約する「高圧電力」においても、この自由化の恩恵を受けられるようになりました。

なぜ今、高圧新電力を検討すべきなのか？

新電力への切り替えは、単に「安い電気」を選ぶというだけではありません。競争原理が働くことで、各社が顧客獲得のために魅力的な料金プランや付帯サービスを打ち出しています。これにより、貴社の電力使用状況に最適なプランを選べるようになり、結果として電気代の大幅な削減が期待できるのです。

電気代削減への期待と不安

電気代の削減は、企業の利益率向上に直結します。浮いた資金を新たな投資や人材育成に回すことで、さらなる成長戦略を描くことも可能になるでしょう。

一方で、「本当に電気の品質は落ちないのか？」「停電が増えるのではないか？」「もし新電力会社が倒産したらどうなる？」といった不安を抱く経営者様も少なくありません。ご安心ください。次章以降で、これらの疑問や懸念を解消し、安心して新電力へ切り替えるための具体的な情報を提供します。

2. 高圧新電力とは？その仕組みとメリット・デメリット

高圧新電力を賢く選ぶためには、まずその基本的な仕組みを理解することが重要です。

高圧電力の基本知識

高圧電力とは、一般的に契約電力が50kW以上2,000kW未満の需要家向けの電力のことです。工場、大型店舗、オフィスビルなどがこれに該当し、低圧電力（家庭用や小規模事業所向け）に比べて、より多くの電気を一度に供給されます。

新電力と既存電力会社との違い

新電力と既存の地域電力会社との最大の違いは、「電気を作る会社」と「電気を送る会社」が分かれている点です。新電力会社は、自社で発電所を持つこともありますが、多くは電力取引所などから電気を調達し、既存の送配電網（送電線や電柱など）を利用して貴社に電気を届けます。この送配電網は、どの電力会社を選んでも共通で利用するため、電気の品質や安定性に差はありません。

新電力切り替えで得られる具体的なメリット

高圧新電力に切り替えることで、主に以下のメリットが期待できます。

電気代削減: これが最大のメリットです。各新電力会社が独自の料金プランを提供しており、貴社の電力使用状況や時間帯、季節によって最適なプランを選ぶことで、従来の電気料金から数パーセント～数十パーセントの削減が見込めます。
環境価値への貢献: 再生可能エネルギーを積極的に利用する新電力会社を選ぶことで、企業の環境負荷低減に貢献し、SDGs（持続可能な開発目標）への取り組みを対外的にアピールできます。
付帯サービスの充実: 省エネ診断、デマンド監視システム、BCP（事業継続計画）策定支援など、電力供給以外の付加価値を提供する新電力会社もあります。

新電力に潜むデメリットとリスク

一方で、新電力には注意すべきデメリットやリスクも存在します。

倒産リスク: 電力事業に新規参入した企業の中には、経営基盤が盤石ではないケースも稀にあります。万が一倒産した場合でも、電気供給が停止することは基本的にありませんが、再契約の手間などが発生する可能性があります。
価格変動リスク: 市場価格に連動する料金プランの場合、燃料費の高騰などにより電気代が一時的に上がる可能性もあります。ただし、多くの新電力は固定価格プランも提供しています。
供給安定性への誤解: 先述の通り、送配電網は既存の電力会社が管理しているため、新電力に切り替えたからといって停電が増えることはありません。しかし、一部の企業では「新電力は不安定」という誤解が残っているのも事実です。

これらのデメリットやリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることが、賢い新電力選びの鍵となります。

3. 失敗しない高圧新電力選びの5つのポイント

ここからは、実際に高圧新電力会社を選ぶ際に、中小企業の経営層が特に注目すべき戦略的なポイントを5つご紹介します。

ポイント1：料金プランと割引体系の比較

電気代削減の最も重要な要素です。単に「安い」という情報だけで判断せず、貴社の事業特性に合わせたプランを選ぶことが重要です。

基本料金、電力量料金の確認: 両者の単価、そして契約電力（kW）や使用量（kWh）に応じてどのように料金が計算されるかを把握しましょう。
燃料費調整額、再エネ賦課金について: これらは国が定めるもので、どの電力会社を選んでも原則として発生します。ただし、新電力会社によっては、燃料費調整額の上限を設定しているプランなどもあります。
独自の割引プランやセット割引の有無: 特定の時間帯割引、休日割引、ガスや通信サービスとのセット割引など、貴社の事業に合った割引がないか確認しましょう。

ポイント2：安定供給とリスク管理体制の確認

「電気は止まっては困る」という経営者様の当然の懸念を解消するポイントです。

電力供給の仕組みと安定性への影響: 新電力は既存の送配電網を使うため、停電リスクは従来の電力会社と変わりません。この点を明確に理解しておきましょう。
非常時のバックアップ体制: 万が一、契約している新電力会社が電力調達に失敗した場合でも、地域の既存電力会社が電気を供給する「最終保障供給」の制度があります。しかし、料金が高くなる可能性があるため、事前に新電力会社のバックアップ体制（複数の調達先を持つなど）を確認することも大切です。
提携している発電所の種類と数: 自社発電所を持つ企業や、複数の発電事業者と契約している企業は、安定供給のリスクが低い傾向にあります。

ポイント3：契約期間と解約条件の理解

契約は一度結ぶと、簡単に変更できない場合があります。後悔しないために、契約条件をしっかり確認しましょう。

長期契約のメリット・デメリット: 長期契約は割引率が高くなる傾向がありますが、将来的な市場価格の変動や、より魅力的なプランが登場した場合に切り替えにくいというデメリットもあります。
途中解約時の違約金について: 事業計画の変更などで解約が必要になる可能性も考慮し、違約金の有無や金額、条件を事前に確認しておくべきです。
契約更新時の注意点: 自動更新の有無、更新時の料金見直しなど、更新に関するルールも確認しましょう。

ポイント4：サポート体制と実績の評価

契約後も安心してサービスを利用するためには、充実したサポートが不可欠です。

法人向けサポートの充実度: 専任の担当者がつくか、問い合わせ窓口の対応時間や緊急時の連絡体制、トラブル発生時の対応フローなどを確認しましょう。
過去の導入実績や顧客の声: 同規模、同業種の中小企業の導入事例があれば、より具体的なイメージが湧き、信頼性が増します。
経営状況と信頼性: 企業の資本金、設立年数、上場状況、情報公開の透明性なども、信頼性を測る上で重要な指標となります。

ポイント5：付帯サービスと環境への取り組み

単なる電気供給だけでなく、企業価値向上に繋がるサービスも視野に入れましょう。

省エネ提案、デマンド監視サービスなど: 電気使用量の「見える化」や、電気料金が高い時間帯の使用量抑制を支援するサービスは、さらなるコスト削減に繋がります。
再生可能エネルギーの導入支援: 自社で太陽光発電などを導入したい場合に、その導入支援や売電サポートを行う新電力会社もあります。
CO2排出量削減への貢献: 環境に配慮した電力調達をしている新電力会社を選ぶことで、企業のブランディングやCSR（企業の社会的責任）活動に貢献できます。

4. 高圧新電力への切り替えプロセスと注意点

いざ新電力への切り替えを検討する際に、どのような手順で進めるのか、そしてどのような点に注意すべきかを見ていきましょう。

現在の電力使用状況の把握

まずは、現在の電気料金の請求書や検針票を準備し、契約電力（kW）、電気使用量（kWh）、使用時間帯の傾向などを把握しましょう。これが、新電力会社からの見積もりを比較検討する際の基礎情報となります。

見積もり依頼から契約までの流れ

一般的な切り替えプロセスは以下の通りです。

情報収集・比較検討: 複数の新電力会社の情報を集め、貴社のニーズに合った候補を絞り込みます。
見積もり依頼: 候補となる新電力会社に、現在の電力使用状況を伝え、見積もりを依頼します。
比較検討・交渉: 提示された見積もり内容（料金プラン、契約条件、サービス内容など）を比較し、不明な点があれば積極的に質問しましょう。
契約・申し込み: 最適な会社が見つかれば、契約を締結します。
スマートメーターの設置（必要な場合）: 現在のアナログメーターがスマートメーターでない場合、新電力切り替えと同時に設置工事が行われます。これは原則無料です。
切り替え完了: 工事や手続きが完了すると、自動的に新電力からの供給が始まります。

スマートメーターの設置について

スマートメーターは、電力使用量をデジタルで計測し、自動で電力会社に送信する次世代型の電力量計です。高圧電力の契約では基本的に設置されていますが、もし古いタイプの場合でも、切り替えに合わせて電力会社が無償で設置してくれます。これは、契約者の立ち合いが不要な場合がほとんどです。

切り替え時の停電リスクと対策

先述の通り、新電力に切り替えたからといって、電気供給の安定性が低下したり、停電が増えたりすることはありません。送配電網は既存の電力会社が管理しているため、電気の品質は維持されます。切り替え時に一時的な停電が発生することも稀ですが、これはごく短時間で、事前に連絡があることがほとんどです。安心して切り替えを進めてください。

5. まとめ：高圧新電力で経営基盤を強化しよう

本記事では、高圧新電力の賢い選び方について詳しく解説しました。

電力自由化の恩恵を最大限に享受し、毎月の電気代を削減することは、貴社の収益性を高め、経営基盤をより強固なものにするための重要な戦略です。単に「安い」というだけでなく、安定供給、サポート体制、付帯サービス、そして企業の信頼性といった多角的な視点から、最適な新電力会社を選ぶことが成功の鍵となります。

この記事が、貴社が自信を持って高圧新電力への切り替えを進め、さらなる事業発展へと繋がる一助となれば幸いです。

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